2011 Fiscal Year Research-status Report
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23531252
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
根津 知佳子 三重大学, 教育学部, 教授 (40335112)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 音楽的経験 / カリキュラム / 音楽的対話 / 感性 / 国際研究者交流(米国/アイルランド) / 国際情報交流(米国/アイルランド) |
Research Abstract |
実践の対象者(児童/生徒/クライアント等)をとりまく外的環境は常に変動し、一人の対象者の生活世界に内在する「関係性」は、多層である。実践者には、対象者をとりまく多重な「関係性」を読み解きつつ、EBP(evidence-based practice)を展開することが求められる。今年度は、「音楽的経験」に関するリサーチエビデンスを有効に活用しながら、対象者の「布置(constellation)」を照射するための方法論を提出し、第11回日本音楽療法学会において報告した。実践者に求められるのは、「臨む力」と「望む力」である(根津2004)。前者は、音楽的経験を通して対象者を理解する力であり、後者は、対象者のライフステージ全体を見通して実践を行う力である。今年度は、グラウンデッドセオリーに依拠したアプローチによって、「臨む力」にかかるポートフォリオを重ね合わせることにより、対象者や家族だけではなく、関係者のライフヒストリーを「望み直す」ことが可能となった。 また、このような作業を経ずに暗黙的に「布置」を読み取ることができるようになるための養成システムについて国内外の研究者や実践者との意見交流を行ってきたが、今年度は、米国(ハワイ)の音楽療法士養成のシステムに関するシンポジウムを開催した。また、教員養成型PBL教育の授業改善に関して報告をまとめた(印刷中)。 「音楽的経験を軸としたカリキュラム構成」に関しては、スコープの検討の準備として、前音楽的経験(生活科の学習内容との比較)、外音楽的経験(国語/保健体育などの表現教科との関連)、準音楽的経験(美術/技術などとの恊働)、音楽的体験(理科/数学との認識の相違)の5種の領域における活動の整理を行った。シークエンスに関しては、特に、幼年期の発達段階と表現行為の関連を検討し、具体的な実践の企画および教材開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に予定していた研究は、おおむね順調に進展している。すでに、平成24年度に予定している教育モデルの系統性の検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
カリキュラムのスコープに関しては、多くの実践の創出をしてきたので、今後は、特定の発達段階に焦点を当て、記録方法の妥当性について検証する予定である。また、特に、教員養成PBLのフィールドでは、実践者(養成段階)と対象者(児童/生徒)の両者の変容について、モデル化することが急務である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「音楽的経験を軸としたプログラム」の具体的事例として、10年間取り組んでいるウィリアムズ症候群の芸術プログラムについて、引き続き、米国やアイルランドの関係者との意見交流を行う。また、教員養成型PBL教育の一環としての「音楽的経験を軸としたカリキュラム」に関しては、特に米国(ハワイ)における視察を行う。したがって、これらの旅費とプログラム遂行の費用(謝金/会場レンタルなど)を計上する。
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