2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23531274
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
勝二 博亮 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30302318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 美由紀 茨城キリスト教大学, 文学部, 准教授 (70434537)
齋木 久美 茨城大学, 教育学部, 准教授 (60361284)
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Keywords | 書字困難 / LD / 早期発見 |
Research Abstract |
小学校に入学すると,ひらがな文字の読み書きを学習し始めるが,実態としてはすでに一定程度習得できているのが現状で,実際の授業においても学習できていることが前提で展開されることも多い。そのような中で,文字の読み書きに困難を示す児童において学習面でのつまずきから,自信を失い,それが学習意欲の低下を引き起こしかねないものと推察される。そこで,本研究では,とりわけひらがな書字に困難を示す子どもの認知的要因を精査し,早期発見のマーカーを探ることを目的としている。 平成24年度では,昨年度実施した調査結果から検査課題を精選し,年少から年長までの園児70名を対象として再調査を実施した。具体的には昨年度「視覚-運動統合課題」に偏っていた課題内容に,課題遂行に運動を必要としない空間位置記憶課題と形態記憶課題の「視知覚課題」を新たに追加した計6課題を。その結果,昨年度と同様に線引き課題,空間認知課題,三角形模写課題において書字獲得数と関わりがみられたのに加え,上記の視知覚課題においても書字獲得との関連性が認められた。 さらに,平成24年度からは視覚-運動統合に問題のみられるケースについて学習支援を開始した。視線定位に問題がみられたため,視覚探索課題を継続して実施したところ,効率的な視覚探索が可能となり,学習への意欲が高まることが明らかとなった。 なお,昨年度実施した幼児を対象としたひらがな文字の読字および書字に関わる認知機能に関して,国内外の学会で研究成果の発表を行った。また,書字動作に関わる脳活動に関しても国内の学会にて研究成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度において予備的調査の予定を前倒しにし,本格的調査を実施した。平成24年度ではこのデータを学会にて発表するとともに,検証結果から新たな検査を組み合わせた再調査を実施した。要支援事例に対する実践的研究においても支援を実施し,その支援効果の検証を進めている。さらに,調査に用いた課題が要求する認知機能を特定するために,脳血流計測による検討を開始している。 以上のことから,おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究成果は学会発表等で公開し,学術論文への投稿準備を始める。さらに,これまでの研究成果をもとに,アセスメント項目を精選し,その有効性について検討していく。また,検査項目に関する脳科学的検証も行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰り越し分については,K-ABCの購入予定であったが発売が遅れており,次年度に発売されれば物品費での購入に充てる。
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