2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23531274
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
勝二 博亮 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30302318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 美由紀 茨城キリスト教大学, 文学部, 准教授 (70434537)
齋木 久美 茨城大学, 教育学部, 准教授 (60361284)
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Keywords | 書字困難 / LD / 早期発見 |
Research Abstract |
近年「小1プロブレム」と称されるように,小学校入学時に生じる様々な不適応行動が注目されている。そのため,幼児教育から小学校への円滑な移行が求められているものの,具体的手だてが定まっていないのが現状であろう。例えば,ひらがな書字に関していえば,本来就学後に学習されるはずであるが,近年の少子化や教育意識の向上,あるいは外部教育機関の充実などの諸要因により,就学前のひらがな書字習得率は年々上昇傾向にある。したがって,小学校入学後,すでにひらがな書字は一定程度習得できていることを前提として,授業が展開されることも多い。 一方で,学齢期にひらがな書字でつまずく子どもの存在があきらかにされており,就学後の一斉指導の中で特別な配慮もなく反復書写や誤字修正指導などによって学習意欲の低下を生じさせる一因になっている。 そこで,本研究ではひらがな書字に必要な認知的要因を明らかにし,就学前に書字につまずく要因を推定することで,学習意欲の低下を未然に防ぐことを目的として行われてきた。 平成23および24年度では,幼児期の子どもを対象として書字とその認知的要因を明らかにするための検査課題を実施し,「視知覚課題」と「視覚-運動統合課題」における書字技能との関わりを検討してきた。平成25年度においては,これらの調査結果を国内の学会で研究発表を行うとともに,研究成果の一部を取りまとめ,国内の学術雑誌に投稿した。 さらに,平成24年度から取り組んでいる視覚-運動統合に問題のみられるケースについて学習支援の成果を国内の学会にて発表を行った。また,視知覚に困難を抱える脳性まひ事例においても支援を行い,その成果を大学の紀要論文としてまとめた。 また,書字動作には視覚と聴覚,視覚と運動など多感覚の情報統合が行われるが,そのような統合処理過程に関わる基礎研究の成果を海外の国際会議で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去2年間にわたり幼児を対象とした本調査を実施し,その結果をまとめることができた。さらに,読みや書字に困難を抱える子どもの支援について実践研究を継続して進めている。また,書字困難の疑似的状況下で書字を行っている際の脳機能研究にも着手してきた。以上のことから,研究の目的はおおむね達成されつつあり,順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は研究機関の最終年度であり,これまでの調査内容を精査して,書字の認知的要因を明らかにさせていく。そのために,これまでの研究成果を学会や学術誌への投稿を通して外部に発信するための準備を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学外研究分担者の未使用分であり,当初予定よりも調査費用のための旅費に要した費用が少なかったために生じたものである。 次年度は研究発表成果や資料収集のために国内会議に出席する予定があり,それに費用を充てる。
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