2011 Fiscal Year Research-status Report
入院児への心理的支援における非侵襲生理計測を用いたストレス評価に関する研究
Project/Area Number |
23531276
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
竹田 一則 筑波大学, 人間系, 教授 (90261768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 昌樹 岩手大学, 工学部, 教授 (50272638)
福島 敬 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30323299)
古谷 佳由理 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90222877)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 入院児 / ストレス評価 / 非侵襲生理計測 |
Research Abstract |
発達途上における病気療養中の児童・生徒(以下,病気療養児)の心身ストレスは,心理面だけではなく,治療経過や,完治した後の社会適応にも悪影響を及ぼすとされ,治療過程における生活の質(QOL)の向上が重視されている。そのため、QOLの低下要因である,疾患や入院加療に伴うストレスの正確な客観的評価法の開発やストレッサーの同定が,特に慢性疾患による治療を必要とする小児においては重要な課題とされている。 以上の背景から,本研究では,慢性疾患の治療のため長期入院している児童・生徒(以下,入院児)のストレスを非侵襲的に客観的・定量的に評価する指標として,唾液バイオマーカーに注目し,入院児に有効な唾液中ストレスマーカーを探索するとともに,入院児のストレスの実態を明らかにすることを目的とした。それに加えて,入院児に対する心理的支援におけるストレスの生理学的評価の活用可能性を明らかにすることも目的としている。 本年度は,入院児に有効なストレスマーカーの探索に関する研究の開始に関連する準備および各種手続きを完了し,研究参加者を募り,生体試料(唾液と血液)のサンプリングを開始した。サンプリング件数は現在80検体程度であり,今後も継続してサンプリングを行っていく予定である。 さらに,研究参加者のほとんどは小児がん患者であり,投与薬剤による唾液バイオマーカーへの影響,心理面への影響に関して,先行研究を中心に検討を行った。その結果,特にステロイド治療薬による抑うつ症状等の心理的側面への影響に関する報告が多くみられたことから,今後は,投与薬剤による差異も含めて,分析を行う予定である。 また,今後の研究の展開に鑑み、小児がん以外で、疾患の臨床症状に心理的ストレスが大きく影響することが知られている気管支喘息児を対象に保護者のQOLの調査を含めた基礎的研究も併せて行い,学術学会などで研究成果の発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究の開始に関連し,より詳細な研究計画の作成および研究開始に必要な各種手続き(対象児が入院する医療機関の倫理審査を通過)を終了し,研究への参加者を募り,サンプリングの開始に到達することができたことから,研究の進捗状況はおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は3年間で行う予定であり,1年目は研究の準備開始を,2年目は調査実施を,3年目は研究成果の公表を重点的に行う予定であり,次年度は調査実施を優先して行う期間にあたる。現在,研究はすでにサンプリングの開始に至っており,次年度は現在のペースでサンプリングを行い,件数を増加していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度はサンプリングの実施を主に行うため,サンプリングに必要となる実験消耗品(唾液収集機器や衛生用品)の購入,および唾液成分の解析に必要な機器,データ分析に必要となる各種関連機器の購入を予定している。また,上記の3点に重点をおき,かつ,研究に関連する情報の収集,研究打ち合わせのための旅費に使用する予定である。
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