2013 Fiscal Year Annual Research Report
入院児への心理的支援における非侵襲生理計測を用いたストレス評価に関する研究
Project/Area Number |
23531276
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
竹田 一則 筑波大学, 人間系, 教授 (90261768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 昌樹 岩手大学, 工学部, 教授 (50272638)
福島 敬 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30323299)
古谷 佳由理 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90222877)
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Keywords | 入院児 / ストレス評価 / 非侵襲生理計測 |
Research Abstract |
小児がんなどの長期入院児は、病院内に隔離された生活に伴う慢性的な心理的ストレス、種々の医療処置などに伴う急性ストレスなどに曝露されている。本研究の目的は、多様なストレス状況下にある入院児に対する心理的支援を行う場合に、非侵襲的な方法を用いて、ストレスの程度を客観的に把握する上での唾液バイオマーカーの有用性の検討である。本年度は、特に小児がん患児における唾液バイオマーカーを用いた慢性ストレス評価に関する研究を実施した。具体的には、ステロイド剤が投与されている小児がん患児の慢性ストレス評価における唾液アミラーゼ活性値(sAA)および唾液中コルチゾール濃度(sCORT)の特性を明らかにすることを目的とした。方法は小児がん患児5名を対象とし、健常者で急性ストレス指標とされているsAA、慢性ストレス指標とされているsCORTの測定を行い、あわせてPOMSで対象児の気分を保護者の観察により評価した。各マーカーの日内変動を分析し、健康な児童のデータと比較し、主観的な心理的評価との関連も分析した、その結果、ステロイド投与下の患児においてもsCORTには日内変動が認められたが、健常児でみられるようなsAAの明らかな日内変動は認められなかった。さらにどちらの唾液バイオマーカーもPOMSとの間に関連は認められなかった。以上より、ステロイドを投与されている小児がん患児においても、sCORTの日内変動をモニタリングすることにより、慢性ストレス評価が可能であることが示された。また、小児がん患児ではsAAの日内変動が認められず健常児に比べ慢性的なストレス状態にあることが推測された。さらに小児の慢性ストレスはPOMSなどを用いた保護者による評価は難しいことが明らかとなった。
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