2011 Fiscal Year Research-status Report
RTIモデルによる漢字の読み書き学習支援に関する研究
Project/Area Number |
23531278
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
小池 敏英 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50192571)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 学習障害 / ディスレクシア / 読み書き支援 / 特別支援教育 / RTIモデル |
Research Abstract |
平成19年度より特別支援教育の本格的実施に伴い、特に「読む」「書く」に著しい困難を示す子どもに対する教育支援方法の整備が必要とされており、学習障害児(LD児)の認知特性にあわせた支援方法の研究がなされてきている。一方、学習障害という診断が確定する前の段階において、読み書きに困難を示す子どもがおり、これらの子どもに対する支援を含めて学習障害の支援を提供するという指導モデルがRTIモデルとして提案され、一斉指導における学習障害の支援の必要性が指摘されている。本研究では、RTIモデルによる早期予防的支援の観点から、通常クラスの一斉指導と個別指導で利用可能な支援教材と支援方法に関する研究を行うことを目的とした。研究実施計画としては、(1)小学校低学年の通常学級児童における漢字読み書きの低成績に関して、実態調査を行い、読み書きの低成績の発生に関与する要因を明らかにする(平成23年度)。(2)読み書きの低成績の発生に関与する要因に対応した教材を開発し、通常学級での利用に基づいてその効果の検証を行う(平成24年度)。(3)あわせて教材の有効性を、近赤外線分光(NIRS)法による前頭前野の脳活動計測を通して検討を行う(平成25年度)。本年平成23年においては、小学校30校の2年生を対象として、漢字の読み書き、ワーキングメモリの成績について実態調査を行った。これに基づき、低学年児童における漢字の読み書きとワーキングメモリおよび、読み書きの基礎スキルとの関係について検討を行った。その結果、漢字の読み書きの低成績は、ひらがな読みの流暢性などの基礎スキルの不十分な達成と関係が深いことを明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RTIモデルに基づく読み書きの早期予防的支援に関する研究では、小学校通常学級の実態調査が不可欠である。本年度は、市町村の教育委員会の協力を得て、30校という多数の学校で実態調査を行うことができた。またこれに基づき、漢字の読み書きの発生に関与する要因を明らかにすることができた。これより「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、RTIモデルによる早期予防的支援の観点から、通常クラスの一斉指導と個別指導で利用可能な支援教材と支援方法に関する研究を行うことを目的とした。平成23年度では、小学校低学年の通常学級児童における漢字読み書きの低成績に関して、実態調査を行い、読み書きの低成績の発生に関与する要因を明らかにした。 平成24年度においては、読み書きの低成績の発生に関与する要因に対応した教材を開発し、通常学級での利用に基づいてその効果の検証を行う。利用方法としては、ホームワークによる利用、放課後での指導における利用、授業時間の中での利用など、多様な形態について検討を行う。実施に際して、大きな問題はない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度においては、読み書きの低成績の発生に関与する要因に対応した教材を開発し、通常学級での利用に基づいてその効果の検証を行う。利用方法としては、ホームワークによる利用、放課後での指導における利用、授業時間の中での利用など、多様な形態について検討を行う。研究費の使用計画としては、ホームワークの作成費用(印刷・配送)、データ入力の謝金、データ分析の謝金を中心として、使用する計画である。、
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