2012 Fiscal Year Research-status Report
成人期発達障害者の生涯学習支援システムの構築に関する研究
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23531281
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
菅野 敦 東京学芸大学, 教育実践研究支援センター, 教授 (10211187)
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Keywords | 「国際情報交換」アメリカ合衆国 / 「国際情報交換」イギリス / 「国際情報交換」オーストラリア / 「国際情報交換」カナダ |
Research Abstract |
平成24年度は、平成23年度に実施した「成人期発達障害者支援機関を対象にした生涯学習支援の実態調査」のデータ解析および提供されているプログラムの類型化に取り組み、新たなプログラム開発の示唆を得る取り組みを行った。 データ解析としては、①提供されているプログラムの学習内容の分析と、②それぞれの学習内容における学習方法の分析を観点として行った。結果は、成人期発達障害者を対象に生涯学習支援を提供する4機関(障害者青年学級、障害者福祉サービス事業所、特別支援学校、大学オープンカレッジ)のいずれにおいても、「行事的な活動」が多く実施されていた。そこで、学習内容と学習方法との関連を検討するために、「行事的な活動」に含まれる学習内容(項目)と学習者の基礎的学習能力との関連を明らかにする調査研究を行った。 方法は、「行事的な活動」にある学習項目と基礎学習能力に関する項目を配したチェックリストを作成し、成人期発達障害者181名(平均CA29.5、平均MA4.5)を対象とし、その支援者に回答を依頼した。その結果、「行事的な活動」の学習項目として、移動、自発的文化活動、好みに沿った選択、規則の遵守、金銭を用いた地域資源の利用の5項目が抽出された。また、基礎的学習能力として、論理的思考、類別概念、文字・数・時間概念の3能力が抽出された。学習項目と基礎的学習能力との関連は、文字・数・時間概念とは自発的文化活動が、類別概念とは移動、好みに沿った選択、規則の遵守、金銭を用いた地域資源の利用が、論理的思考とは好みに沿った選択、金銭を用いた地域資源の利用が深い関連が認められた。学習活動に取り組むためには、基礎的学習能力である類別概念、文字・数・時間概念の能力とともに、より高度な論理的思考の獲得が必要であり、論理的思考の獲得をめざしたプログラムの開発が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画に関し、研究目的「平成23年度に実施した成人期発達障害者支援機関を対象にした生涯学習支援の実態調査」のデータから、①提供される学習内容の分析および、②学習内容と学習方法の関連(学習内容・項目と学習者の基礎的学習能力との関連)に関する分析を行い、新たなプログラムとして、論理的思考の獲得をめざしたプログラムの開発が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) ・平成25年度は、①論理的思考の獲得をめざしたプログラムの開発を行い、②その試行と有効性の検証に取り組むとともに、④「生涯学習支援システム」のモデル構築をめざし、新たに、③「成人期発達障害者支援機関を対象に、成人期発達障害者の学習支援の課題と展望に関する調査」を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(次年度の研究費の使用計画) ・研究目的と内容:論理的思考の獲得をめざしたプログラムの開発をおこない、その試行と有効性の検証に取り組むとともに、「生涯学習支援システム」のモデル構築をめざし、「成人期発達障害者支援機関を対象に、成人期発達障害者の学習支援の課題と展望に関する調査」を実施する。 ・研究計画と方法: ~ 7月 論理的思考の獲得をめざしたプログラム作成。8月~11月 プログラムの試行と有効性の検証、「成人期発達障害者の学習支援の課題と展望に関する調査」(調査票印刷費 1000,000円、調査票郵送費 1,870,000円)。12月~ 3月 データ入力と分析(データ入力謝金 100,000円:1000円×20時間×5名、データ解析謝金 200,000円:1000円×40時間×5名)、「生涯学習支援システム」のモデル構築
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