2014 Fiscal Year Annual Research Report
成人期発達障害者の生涯学習支援システムの構築に関する研究
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23531281
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
菅野 敦 東京学芸大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10211187)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 知的発達障害 / 成人期 / 生涯学習 / 生涯学習支援システム / 学習ニーズ / 学習プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、「生涯学習支援システム」の構築をめざし、成人期発達障害者の学習支援の課題と展望を見いだすために平成25年度に実施した調査研究の分析を行った。調査の概要は、成人期発達障害者の相談支援事業を行っている4,159機関を対象に調査票を送付し、直近の調査内容3件から学習支援の課題と展望を見いだすものであった。調査の結果、1,065機関(回収率25.6%)から回答を得た。相談支援事業所が受けた直近の3件(計2,891件)のうち、調査対象が幼児期・学齢期、身体障害・精神障害であったものや記入不備を除いた成人期知的障害者に関する相談内容1,123件を分析対象とした。1,123件のうち学習内容に関するものは、168件であった。学習内容として最もニーズの高かった活動が「コミュニケーションスキルに関すること」(33.9%)であった。次いで、金銭管理等を含む「社会的な知識や情報に関すること」(25.0%)、調理、清掃等を含む「生活技能に関すること」(17.9%)、健康管理、障害受容等を含む「自己理解に関すること」(17.3%)であった。しかし、成人期支援機関が実際に実施している学習支援の内容は、「行事的な活動」(86.4%)、「スポーツ・運動的な活動」(68.7%)、「文化・芸術的活動」(62.2%)、「生活技能に関する活動」(50.0%)という結果であった。これらの結果より、成人期知的発達障害者の学習ニーズの高い活動の支援機関での実施率は低く、学ぶ場・機会の少ないことが推察された。一方で、実施率の高い「行事的な活動」はニーズとして挙げられる割合が低かった。このことは、①実施率が高いため既に学ぶ場・機会があること、②学習ニーズに変化が生じていることが考えられる。「生涯学習支援システム」の構築をめざして、さらなる調査研究等の必要性と、学習プログラムの開発・整備の必要性が求められる
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