2011 Fiscal Year Research-status Report
特別支援学校の学校健康診断における聴力検査実施方法の検討
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23531284
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
加藤 哲則 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (90510199)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 特別支援学校 / 学校健康診断 / 聴力検査 |
Research Abstract |
研究全体の目的は,特別支援学校において学校保健安全法に基づいて行われる学校健康診断項目に示されている聴力検査の実施方法について検討することである。平成23年度は,特別支援学校での聴力検査の実施状況について,各特別支援学校が対象とする障害種別ごとの実施状況と対象とする障害種別ごとの聴覚障害を有する児童生徒の在籍状況等を明らかにすることを目的として,郵送法による質問紙調査を実施した。対象は,東日本大震災の影響を考慮して岩手・宮城・福島の3県を除いた44都道府県の特別支援学校(分校を含む)972校の養護教諭であった。質問紙の内容は,対象としている障害種別,学校健康診断の聴力検査の実施の有無,学年毎の児童生徒数,難聴確定診断ありの児童生徒数,難聴側耳(両側・片側),補聴器・人工内耳装用児数等であった。664校から回答があり,回収率は68.3%であった。そのうち2校は既に廃校となっていたため,662校を分析の対象とした。662校の対象障害種別の内訳は,視覚61,聴覚80,知的431,肢体不自由196,病弱78,その他14校であった。聴覚検査の実施状況は,531校(80.2%)がすべての児童生徒を対象に実施しており,131校(19.8%)はすべての児童生徒を対象に実施していなかった。662校の在籍児童生徒数は70461名で,そのうち重複障害児は18586名,測定不能が15986名,未実施は7261名,難聴ありは4799名であった。難聴の内訳は,両側難聴が4451名,片側難聴が581名であった。補聴器装用は3698名,人工内耳装用は589名であった。これらの結果から,我が国の特別支援学校における学校健康診断の聴力検査の実施状況ならびに難聴児の在籍状況等の概要が明らかとなり,特別支援学校における学校健康診断実施方法のを検討するための基礎資料を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度実施予定の研究内容である,全国の特別支援学校における学校健康診断の聴力検査の実施状況と難聴児数等の質問紙調査を実施し,その結果から,我が国の特別支援学校における学校健康診断の聴力検査の実施状況ならびに難聴児の在籍状況等の概要が明らかとなり,特別支援学校における学校健康診断実施方法のを検討するための基礎資料を得ることができた。これにより,特別支援学校の学校健康診断の聴力検査が在籍するすべての児童生徒に対して実施されていないこと,実施しても測定不能の児童生徒がいることが明らかになった。学校保健安全法に示された検査方法では,対応できないことが明確になり,平成25年度以降の研究内容である学校保健安全法に示された聴力検査法に準ずる検査方法の検討を行う必要性が示されたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に実施した調査研究の成果発表等が,関連する学会等の開催時期等の関係により当該年度内に実施するに至らなかったために次年度使用額が発生した。平成25年度早々に,関連する学会発表が開始されるため,次年度使用額を使用して成果発表等を実施する予定である。研究自体は,概ね計画通りに遂行しているので,研究計画の変更等は必要ない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究は,聴力検査の実施方法の検討に入る予定である。主に重複障害の児童生徒を対象とした検査方法の検討を行うため,聴性脳幹反応を他覚検査としての指標とする。そのために聴性脳幹反応検査の機材を購入する。申請した研究費の使用計画どおり使用する予定である。次年度使用額も,学会等の開催時期の関係により発生したために,前年度の成果発表に使用する予定である。
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