2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23531287
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小畑 文也 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20185664)
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Keywords | ヘルスリテラシー / 症状の表出 / ヘルスコミュニケーション / 幼児 |
Research Abstract |
原発事故等により予想される小児の疾患の増加に、家庭でより早く対応することを目標として研究を実施した。具体的な目的は、1.幼児の「症状」に関わるボキャブラリー、表現の発達を明らかにする。2.保護者及び保育者が幼児の「症状」の表現をどの程度理解しているかを明らかにする 【方法】1) 対象とした症状:腹痛・頭痛・切り傷・かゆみ・疲れ・めまい・吐き気・発熱 2)手続き:目的の1に関しては、個別対面テストを用い、目的2に関しては保護者を対象とした質問紙調査を行った。3) 対象:個別対面テストは4-6歳児30名に対して実施し、質問紙調査は教諭7名を含む72名の保護者(子どもの年齢3-6歳)に対して実施した。4) 調査時期 個別対面テストは2011年11月、質問紙調査は2012年11月に実施した。 【結果と考察】1.個別対面テスト:「痛み」に関わる語彙は3歳の時点で既にほぼプラトーに達していた。また、かゆみ、疲れ、発熱は加齢に伴い発達し、5歳の時点でほぼ獲得されるが、「疲れ」に関しては、3歳で2割、4歳で4割が獲得しているに過ぎなかった。さらに、吐き気、めまいに関してはどの年齢でも十分な語彙獲得がなされているとは言えなかった。2.質問紙調査:加齢に伴い「症状」の言語的共有が増加したが、男児に比べると、女児の症状の共有は少なかった。また、「頭痛」に関しては、子どもは早期に表現手段を持つものの、受け手としての保護者との共有は遅れる傾向にあった。総じて、薬を塗る、絆創膏を貼る等の「対処」が明確なものについての、症状の共有は早期に成立するが、「対処」が明確ではないものについては遅れる傾向にあった。「症状」は子どもにとっては理解が困難な内部感覚の表現であり、特に痛みを伴わないものに関しては周囲の大人も注意し観察する必要がある。また、その観察においては、発信者である子どもと大人の認識の間にずれがある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の計画通りに、健康な児童を対象とした「標準」を見いだすこと、また保護者の理解とのズレを見いだすことに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は表題の通りに、ヘルスリテラシーに関する弱者としての「知的障害児」を対象としての、実態調査を実施する。また、知的障害児の認知特性に沿って、理解のしやすい、衛生の概念の指導を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度は近距離での学会が多かったため、若干の残額が出た。 本年は、九州など遠距離での学会が増えるため、その旅費として使用する。
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Research Products
(2 results)