2013 Fiscal Year Annual Research Report
外国人子女にも応用可能な読字指導法開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
23531294
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
関 あゆみ 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (10304221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 大介 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (20547947)
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Keywords | 学習障害 / 読字障害 / 特別支援教育 / 漢字 / 機能的MRI / 日本語教育 |
Research Abstract |
本研究では、日本語における読みの仮説モデルが言語背景や基礎的能力の異なる学習者にも適応可能であるかを検証し、外国人子女にも応用可能な読字指導法を開発することを目的とした。主に漢字について検討した。 読みの二重経路モデルでは語彙経路と非語彙経路が想定されている。漢字単語の読みにおいて、語彙経路の読みに関連する要因として単語の親密度や出現頻度、非語彙経路の読みに関連する要因として読みの一貫性を用い、それぞれを統制した漢字音読課題を作成した。これを用いて、①日本人大学生、②成人の日本語学習者(留学生)、③読み障害のない日本人小児、④発達性ディスレクシア児、⑤小児の日本語学習者(外国人子女)を対象として漢字の読み能力と、単語属性、語彙力・その他の認知能力との関連を検討した。この結果、読み障害のない日本人(①および③)では、低親密/低頻度語において一貫性の程度が読みの正答率に影響したが、発達性ディスレクシア児では低頻度語における一貫性の影響がみられなかった。全ての群で語彙力は漢字の読み能力の最大の説明因子であったが、発達性ディスレククシア児では他群に比べ語彙力に対する相対的な漢字読み能力が低かった。また漢字の読み能力に対する視覚認知・視覚記銘力の影響は認めなかった。 あわせて、日本人大学生を対象として漢字の読み課題による機能的MRIを行い、漢字の読みにおける脳活動に親密度と一貫性が異なる影響を与えることを確認した。このことは、漢字の読みにおける語彙経路と非語彙経路での並列処理の傍証になると考える。 以上より、漢字の読みに二重経路モデルを適応することは妥当であり、言語背景の異なる学習者(留学生や外国人子女など)や基礎的能力の異なる学習者(発達性ディスレクシア児など)への指導においては、それぞれの特性を考慮し、親密度/頻度と一貫性を意識した指導方略が必要であることが確認された。
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Research Products
(3 results)