2011 Fiscal Year Research-status Report
手話環境下の人工内耳装用児の聴覚情報処理を促進するための教育支援プログラムの構築
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23531300
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高橋 信雄 愛媛大学, 教育学部, 教授 (70132719)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 人工内耳 / 聴覚障害 / 機関間連携 / ネットワーク構築 |
Research Abstract |
1,人工内耳装用児をめぐるコミュニケーション様式は、学校および親のニーズにより、多様でありるが、将来的には聴覚の受容も目指している実態が明らかとなった。現在では、人工内耳装用幼児の半数以上が、聾学校幼稚部に所属し、共通コミュニケーションモードである手話環境下におかれており、口話的環境の実現が難しい状況であることも明らかとなった。しかし一方で、手指でのコミュニケーションへの不安から種々の施設や機関に通っている親も多数おり、指導に関わる施設間での指導内容面での整合性が求められている。そのため、個別のケースカンファレンスと平行して、親の会を含めた愛媛県内の関係する指導機関間のネットワーク会議を開催し、問題点を探った。連携プログラムを試行する際には、指導内容面での検討および各機関が担う役割の分担、手指使用時の聴覚の意識的使用については、なお検討する必要があった。 2、人工内耳装用児の聴覚情報処理については、受容としての音が入ること(音がきこえることにより行動の安定化が認められた)と入力された音情報から必要な言語的情報の処理(内容理解)への課題がより明らかとなった。しかし、音の情報の受容においては。聞こえはじめのレベル設定は刺激への行動反応レベルから比較的容易に推察できえたが、どこまで刺激を強くするのが妥当かについてはなお検討を要する。また、言語情報処理に多少とも遅れのある装用児の場合、手話や絵により意味情報を先行させた指導が一定の効果をもたらし得る可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・各データについては収集途上である。・日本特殊教育学会にて学会シンポジウムを開催し、また、日本聴覚医学会では学会発表を行い、関係者からの意見を聞くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
・各データについては年度計画に基づき引き続き収集する。・学会シンポジウムの開催予定。・公開講座でのパネルディスカッションを実施し、問題点を整理する。・関係機関間のネットワーク会議の開催と内容面での検討をする。特に、県下の関係機関間のネットワーク構築から実働への方向を探る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・人工内耳国際会議(米国、ボルチモア)への出席およびメリーランド聾学校(バイリンガル教育)での人工内耳装用児の実地調査をする。・研究計画に基づいた資料収集および生理を行う。種々の活動の実施に伴う消耗品等の購入を予定している。
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