2012 Fiscal Year Research-status Report
ダウン症児・者のための運動発達支援プログラムの開発に関する研究
Project/Area Number |
23531303
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
古賀 精治 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (20225395)
|
Keywords | ダウン症 / 姿勢・運動発達支援プログラム / 姿勢・運動発達チェックリスト / 運動力学的分析 / 動作法 / 特別支援教育 |
Research Abstract |
本研究ではダウン症の代表的な4つの特性、すなわち筋緊張低下症、知的発達の遅れ、表出言語の遅れ、多様な合併症(小奇形)の頻度の高さのうち、筋緊張低下症に起因する姿勢や運動発達の遅れや特異性に焦点を絞り、乳児期から成人期までのダウン症児・者の特徴に対応した姿勢・運動発達支援プログラムを開発し、その効果をダウン症児・者のための姿勢・運動発達チェックリスト及び運動力学的分析法を用いて検証することを目的とする。 平成24年度は主に動作法によるダウン症児・者のための姿勢・運動発達指導課題一覧表の作成を試みた。最初に2009~2011年の大分ダウン症発達支援キャンプ(4日間の集中トレーニング)に参加したトレーナー56名のうち、キャンプ参加経験2回以上の21名のトレーナーの指導記録をもとに37項目から成る指導課題表・試案1を作成した。次に2012年の大分ダウン症発達支援キャンプに参加したトレーナー23名に実施した指導内容を指導課題表・試案1に記入するよう求めた。その結果から、指導課題表・試案1の37項目中4項目を削除して新たに25項目の指導課題を追加し、58項目から成る指導課題表・試案2を作成した。最後に指導課題表・試案1の作成時に参考にした21名以外の35名のトレーナーの指導記録から有用と認められる指導課題を抜粋して追加し、さらに筆者の19年余りの指導経験に基づく知見とダウン症児・者への動作法の適用に関する先行研究の知見をもとに課題の精選・整理を行い、最終的に69項目から成る指導課題表・成案を作成した。 本研究成果はこれまで体系化されてこなかった動作法によるダウン症児・者のための姿勢・運動発達支援プログラムを開発していく上で大いに役立つものと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダウン症児・者のための姿勢・運動発達支援プログラムの中核となる指導課題表の成案をほぼ完成できたことにより、平成24年度の研究計画をおおむね達成できたといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り今後は、毎週金曜日の午後に行っているおよそ15名のダウン症児・者の指導の会、月1回土曜日に行っている20数名のダウン症児・者の指導の会、そして夏休みを利用して行っている3泊4日の大分ダウン症発達支援キャンプにおいて、平成24年度に作成した動作法によるダウン症児・者のための姿勢・運動発達指導課題一覧表に基づく指導を実践し、その効果を平成23年度に作成したダウン症児・者のための姿勢・運動発達チェックリスト、既存の発達検査法及び、圧力分布測定装置を用いた運動力学的分析法によって検証する。なお圧力分布測定装置によるダウン症児・者の運動制御機能の特徴をあらわす指標の特定化に関する研究もすでに進行中である。また現在、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での課題等は特に見当たらない。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に新たに高額な物品を購入する必要はない。平成24年度の研究成果を日本特殊教育学会において発表する予定である。そのための旅費が必要となる。指導記録の整理及び、圧力分布測定装置による運動力学的データの測定や入力のために大学院生の補助を要するため、その謝金が必要である。
|