2013 Fiscal Year Research-status Report
ダウン症児・者のための運動発達支援プログラムの開発に関する研究
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23531303
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
古賀 精治 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (20225395)
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Keywords | ダウン症 / 姿勢・運動発達支援プログラム / 姿勢・運動発達チェックリスト / 運動力学的分析 / 動作法 / 特別支援教育 |
Research Abstract |
本研究ではダウン症の代表的な4つの特性、すなわち筋緊張低下症、知的発達の遅れ、表出言語の遅れ、多様な合併症(小奇形)の頻度の高さのうち、筋緊張低下症に起因する姿勢や運動発達の遅れや特異性に焦点を絞り、乳児期から成人期までのダウン症児・者の特徴に対応した姿勢・運動発達支援プログラムを開発し、その効果をダウン症児・者のための姿勢・運動発達チェックリスト及び運動力学的分析法を用いて検証することを目的とする。 平成25年度はダウン症者の階段昇降における足の踏みしめ方に関する運動力学的分析を行った。体重をのせながら股関節や膝を屈伸することや前後左右への重心移動が苦手なダウン症児・者にとって階段昇降は、彼らの姿勢・運動制御機能の特徴を検討するのに適した課題だと考えた。まず研究Iではダウン症児・者が階段昇降をできるか否かの実態を調べた。対象はダウン症児・者16名(3歳7ヵ月から26歳2ヵ月)であった。その結果、成人になっても昇りで33.3%、降りに至っては50%ものダウン症者が両脚交互昇降をできないことが明らかとなった。次に研究IIでは足底圧分布パターンと足底圧中心の移動軌跡及び移動距離という運動力学的指標に基づいて、より詳細にダウン症者の階段昇降動作を分析した。その結果、健常者よりもダウン症者は足底圧中心の前後方向(踵から爪先方向)へのスムーズな移動を苦手としていること、またダウン症者は階段を昇る時は拇指球辺り、そして降りる時はけい状骨辺りという特定の部位に足底圧がかかっていることが明らかとなった。 このような運動力学的分析方法と結果は、平成24年度に作成した動作法によるダウン症児・者のための姿勢・運動発達指導課題一覧表に基づく指導の効果を検証する上で役立つものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に購入した圧力分布測定システムによる運動力学的分析によって、ダウン症児・者の姿勢・運動の特徴を測定できることが明らかとなり、開発途上の姿勢・運動発達支援プログラムの効果の検証に役立つことが示されたことから、平成25年度の研究計画をおおむね達成できたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り平成26年度は、毎週金曜日の午後に行っている指導の会、毎月1回土曜日に行っている指導の会、そして夏休みを利用して行っている3泊4日の大分ダウン症発達支援キャンプにおいて、平成24年度に作成した動作法によるダウン症児・者のための姿勢・運動発達指導課題一覧表に基づく指導を、乳幼児期から成人期のダウン症児・者に適用し、その効果を平成23年度に作成したダウン症児・者のための姿勢・運動発達チェックリスト、既存の発達検査法及び、平成25年度にその有用性を確認した圧力分布測定装置を用いた運動力学的分析法によって検証する。その過程でさらに指導技法の精選と改良を図り、ダウン症児・者のための姿勢・運動発達支援プログラムの完成をする。 なお現在、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での課題等は特に見当たらない。
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