2012 Fiscal Year Research-status Report
専門NPOによる自閉症児への機能的支援に関する研究
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23531304
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
衛藤 裕司 大分大学, 教育福祉科学部, 准教授 (00284779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥後 祥治 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (90251008)
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Keywords | 自閉症 / サービス提供 / ラーニング・センター / IEP / NPO / PO / 株式会社 / 外部専門家 |
Research Abstract |
平成24年度は,外部専門機関が関わる学校(特に,Learning Center,特別支援学校,特別支援学級,ラーニング・センター)へのプログラム提供の内容分析を行った。外部専門機関は,NPO・PO・法人・株式会社のうち,プログラムとして体系的なものを有しているところを選定し,訪問調査を行った。サービス・プログラムの多くは,自閉症の障害特性に対応するものではなく,行動系次いで認知系のものであった。特に,米国の場合は,Leraning Centerにおいて使用されているプログラムは,LD児(学習障害)のための認知系プログラムを自閉症児が使用している場合が多く,日本の場合は個別指導・ソーシャル・スキルを中心とした行動系プログラムを自閉症児が使用していた。 コストに関しては,米国は実施回数を契約しているものが多かったが,日本では時間数を契約しているものが多かった。 また,そのプログラムの学校生活における機能性を確かめるため,「機能的支援プログラムに関する質問紙」を開発した。特に実行機能に焦点化した質問紙を作成し,多変量解析(因子分析)により,因子構造の検討を行った(妥当性・信頼性も併せて検討)。 さらに,特別なサービス・プログラムを使用している自閉症児の小学校の担任と当該の児童に関っている外部専門家を対象に,機能化に関する意識調査を実施した。その結果,視覚・聴覚等の認知(理解)に関する因子を除き,合理的配慮等,実施の程度に意識差があることが明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,外部専門機関のもつ学校(特に,ラーニング・センター)へのプログラム提供の内容分析が課題であった。 そのうち,「1)特別な場と通常学級の中間に位置するラーニング・センターにおける機能的支援プログラムの利用率算出」に関しては,米国に滞在する自閉症のある保護者への質問紙調査を行い,その利用率が算出された(100%達成) また,「2)通常学級担任・ラーニング・センター担当教員に対する機能的支援プログラム質問紙調査(因子分析)」に関しては,質問紙を作成し,さらに60名を対象とする実際の調査を実施した(学会発表済み。100%以上達成) さらに「3)NPOにおける人的・物的コストの分析(年間収支表の収集)」に関しては,資料収集を行ったが,特に「人的コスト」の分析に関して,当該者が自閉症児用プログラムだけを担当していない場合が多く,5分の1程度のNPOの分析が明確に行えなかった(80%達成)。当該者のさらに細かいスケジュールの入手,年平均算出→月平均算出により,分析達成率を上げ検討を行うことが,最終年度への課題となった。 また,自閉症児が利用するLD(学習障害)の認知系プログラムの機能化に関する検討も行った。 これらを含め,11の学会発表を行った。故に,総合的に「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,計画書通り,以下の研究を進める予定である。 米国・英国等の学校は,障害児に提供するサービス決定のためのアセスメント・チームである「SST(Student Study Team)」をもち,コーディネーターを中心に学校改善のための支援のためのアセスメントを行っている(学校長も含む)。最終年度は,特に,実際にどのようにして機能的支援プログラムへの移行に着手しているかに焦点をあてる。その子どもの所属する学校区のマニュアル分析を行い,担当コーディネーターにインタビュー調査を実施し,アセスメント結果と利用している外部専門機関のサービスとの関連について検討する。可能であれば,ビデオ撮影を行い,モデルビデオを作成する(日本の専門家を対象者とした分析を予定) なお,カリフォルニア大学サンタバーバラ校のGeorge Singer教授からカリフォリニア州のインクルージョンの実態に関するレクチャーを受ける予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,研究計画書に基づき,米国・英国・伊国等での実地調査を実施するとともに,国内のNPO・PO・株式会社を訪問する予定である。また,自閉症関連・障害児教育関連図書(大分大学)を購入し,文献的な研究もさらに進展させる。 教材としてのモデル・ビデオの作成も予定しており,そのため,編集に必要なビデオ関連の機器の購入を予定している。 研究成果に関しては,国際学会での発表の他,日本特殊教育学会(明星大学)・日本自閉症スペクトラム学会を始め,日本LD学会,日本ADHD学会等,近縁の発達障害の学会においても参加または発表を行う。また,日本NPO学会やNPO関連のセミナーにも参加する予定である。 なお,研究成果公開用HPを作成し,年度末に公開する。
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Research Products
(13 results)