2013 Fiscal Year Research-status Report
幼児期のコミュニケーション能力の評価指標の作成と言語支援
Project/Area Number |
23531307
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
瀬戸 淳子 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 教授 (70438985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦野 悦子 白百合女子大学, 文学部, 教授 (50114921)
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Keywords | コミュニケーション能力 / ナラティブ / 幼児期 / 発達評価 |
Research Abstract |
◎幼児期のコミュニケーション能力評価指標作成に向けての調査と分析 幼児期後期から学齢期にかけて発達する会話や、経験や物語を順序立てて伝えるナラティブといった談話段階の言語発達のプロセスや評価の方法論については、まだ十分に研究が進んでいない。そこで談話期のコミュニケーション能力の発達プロセスを明らかにするために、7種の課題を作成し、H25年2月、3月、7月に調査を実施した。対象児は保護者の調査協力の承諾が得られた幼稚園年中児年長児83名(4歳前半~6歳後半)である。調査は2日に分けて実施し、1日目にLCスケール(言語発達検査)、2日目に、説明やナラティブに関係する7種のことば遊び課題を実施した。以下は7課題の内の2課題の結果である。 1)ストーリーナラティブに関する分析:紙芝居の文を録音した4分の紙芝居用CDを聞かせながら14場面の紙芝居を見せたのち、視覚的手がかりが無い状態で紙芝居の内容を話してもらった語りを分析した。ストーリーナラティブの能力は個人差が大きいが、5歳半以降6歳前半にかけて語られる叙述文数が急増する傾向がみられた。また、語られる内容は、結末部分、発端部分、展開部分の順に多いという特徴がみられた。 2)事象知識に関するナラティブ分析:ルールのある4種類の規則遊びの遊び方についての語りを分析した。規則遊び事象知識の語りでは「規則構造」を中心に細部が追加され構造化される、初期には語りの個人差が大きいが5歳後半以降に語りが収束するという特徴がみられた。 以上のように、語りには個人差があるが5歳後半6歳前半にかけて語りの質的な変化があることが示唆された。H26年度中に残りの分析を終了させ、幼児期後期の語りの発達的様相を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H24年度にコミュニケーション能力を評価するために新規に7課題を作成し、H25年2月、3月、7月に4歳から6歳代の幼児計83名を対象に個別調査を実施した。H26年3月にはその調査結果を報告書としてまとめる予定であったが、新規の課題作成までに時間を要したこと、また、新規の課題であるため個々の子どもの発話内容の評価の視点の検討、分析に時間を要したため、本年度H26年度まで分析を継続して報告書をまとめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)幼児期後期のコミュニケーション能力の評価指標の作成に向けたデータ分析とまとめ H25年度に実施した7種類の課題の調査データの分析を継続し完了させる。それぞれの課題ごとの分析に加え、課題間の関係、また、既存の言語発達検査(LCスケール)との対応を分析する。これらの分析をもとに幼児期後期のコミュニケーション能力発達の機序とプロセスについて考察する。 2)「保育場面における言語・コミュニケーション アセスメントシート」を用いた保育支援の提案 H23年度に作成した保育者用の「保育場面における言語・コミュニケーション アセスメントシート」を、H25年度より実際に要支援児の担当保育者に使用してもらいデータを集積している。このような担任による評価結果と、集団保育場面、個別検査場面での行動特徴の比較分析を行い、日常の保育支援に向けた使用法を提案する。 3)以上の研究結果を研究成果報告書にまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H26年3月には調査の分析を終了し調査結果を報告書としてまとめる予定であったが、新規の課題であるため個々の子どもの発話内容の評価の視点の検討、分析に時間を要したので、H26年度に報告書をまとめる予定である。 未使用額は研究報告書をまとめる経費に充てる。
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