2012 Fiscal Year Research-status Report
家族参加型の障害児保育ニーズアセスメントの開発と適用
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23531313
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Research Institution | Kamakura Women's University |
Principal Investigator |
飯村 敦子 鎌倉女子大学, 児童学部, 教授 (70326982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 芳文 和光大学, 現代人間学部, 教授 (70106152)
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Keywords | 障害児保育 / 家族参加 / アセスメント / ムーブメント教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、幼稚園や保育所における障害児保育、さらには、対応が急務とされる広汎性発達障害や注意欠陥多動性障害など、発達障害やその疑いのある子どもの教育的支援に直結するアセスメントの開発とプログラムの作成、育児力を高める家族参加型支援を構築することである。 平成24年度は、障害児保育におけるニーズを明らかにするために、平成23年度に行ったヒアリング調査をもとに、保育者を対象として、障害のある子どもやその疑いのある子どもの保育にあたり、どのような疑問を有しているか質問紙による調査を行った。その結果、保育者が最も困難であると感じているのは、保護者への対応に関することであった。次いで、保育の方法に関すること(対象とする子どもの行動などへの直接的な対応方法や他の子どもとの関わり方)、就学時の対応に関すること、他の保育者との連携に関することであった。 さらに、障害乳幼児とその保護者を対象として、ムーブメント教育による療育支援を実践するとともに、支援内容(プログラム)分析を通して、障害乳幼児の発達を促す支援環境のあり方について検討した。この実践から、特に障害のある乳幼児の支援においては、保護者が子どもと共に楽しめる活動に参加して、その成長発達を直接的に経験する重要性が明らかになった。これにより、保護者は子どもの成長をポジティブにとらえることが可能となり、支援で経験した内容を日常生活にも汎化できることが示された。すなわち、家族参加型支援へのムーブメント教育の活用と有効性が検証されたと考える。 本年度の研究実績から、障害児保育ニーズアセスメントには、対象となる子どもの発達をとらえる要素に加えて、保護者が子どもの発達やその変化をどのようにとらえているかというアセスメントの側面が必要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、継続研究の2年目として、当初の計画に基づいた研究が遂行できたと考える。それは、障害児保育ニーズアセスメントと家族参加型支援プログラムの構築にむけた保育者への調査により、保育者側からみた障害児保育ニーズを明らかにすることができたからである。また、障害乳幼児と保護者へのムーブメント教育による支援の実践的研究により、アセスメントに基づく家族参加型支援プログラムの展開方法と内容を絞り込むことができ、そのフォーマットの試案を作成することができた。 本年度当初、ドイツのKiphard Instituteにおいて発達障害児のスクリーニングとムーブメント法による支援内容に関する現地調査を行う予定であった。しかし、本研究の対象が障害、あるいはその疑いのある乳幼児であることを鑑み、調査地を英国に変更して資料収集を行うことになった。具体的には、University of Roehampton, Education Village, Mandeville Schoolなどにおいて調査・資料収集を行うことが決定している。 以上より、最終年度に向けた本研究の進捗度は順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、継続研究の最終年度であることから、これまで取り組んできた障害児保育ニーズアセスメントの適用をはかり、その活用の有効性を検討する予定である。具体的には、平成24年度に作成した障害児保育ニーズアセスメントの試案を研究フィールド園において適用し、その活用と有効性について保育者からの視点で検討する。家族参加型支援プログラムは、平成24年度に実施した実践研究のデータを元に、プログラム内容を精選して、家族が参加して取り組み、子どもの発達をポジティブにとらえることのできる発達段階別アプローチを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度における研究費の主な使用計画は以下のとおりである。まず、平成24年度に実施予定であった、障害乳幼児への家族参加型支援やインクルーシブ教育や保育の有益な研究を展開しているUniversity of Roehampton, Education Village, Mandeville Schoolなどにおいて現地調査・資料収集を行う。また、障害児保育ニーズアセスメントの活用と有効性の検証を行うためのデータ処理ソフトの導入を図る。
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Research Products
(4 results)