2011 Fiscal Year Research-status Report
量子タイヒミュラー空間の視点による量子差分モノドロミー保存系の研究
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23540004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長谷川 浩司 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (30208483)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 可積分系 / 量子群 / モノドロミー保存系 / パンルヴェ方程式 / 数理物理 / ヤン・バクスター方程式 / タイヒミュラー空間 |
Research Abstract |
本研究は、フックス型接続方程式のモノドロミー保存変形の量子差分化(非可換化+離散化)を,量子離散タイヒミュラー空間上の系と捉え研究することを目的としている。とくに、パンルヴェVI型・ガルニエ系を量子差分化し,時間発展をデーン捻りの量子化として理解すること;量子差分パンルヴェVI型を生む D_5(1) 型ワイル群作用を幾何的な視点から理解すること;量子差分ガルニエ系の対称性や, τ関数の量子化についても,幾何的観点から追求すること、などであり、これらを通じて,量子群から構成される可解格子模型にリーマン面の幾何の視点を導入することが大きな目標である。今年度は、主として量子差分パンルヴェVI型を生むD_5(1) 型ワイル群作用の理解を目標とし、タイヒミュラー空間と変形パラメータ方向のなす全空間の量子離散化の対称性と捉え、ワイル群作用の量子化による構成と非自励Faddeev-Volkov系の簡約としての構成を繋ぐことを目指した。その結果、ワイル群作用がラックス行列の要素に対してはどのように働くべきか、以前作った抽象的なワイル群作用における変数との完全な対応表を作ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調ではあるが、根拠というべきものが計算によっている。ラックス行列への作用を共役変換(変換の母関数による内部自己同型)として書く示唆が得られ、量子群との関連をより明らかにするための第一歩となるものと期待しているが、概念的なものに達していない。安定した理解とよぶべきものを目指して、さらに努力する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き量子離散パンルヴェVI型方程式におけるラックス行列へのワイル群作用について、その完全な記述および幾何的な理解をめざしたい。そのために現在の計算および考察をさらにすすめる。同時に、初期値空間の被覆空間の量子離散化の対称性としての、ワイル群作用に関する幾何的な観点についても考察する。 一方で本年度、連携研究者の黒木によって、野海-山田理論におけるτ関数の量子化の良い候補が見出されている。しかしラックス形式との関係はいまだ不明である。これを明らかにすることは重要と思われ、大きな課題である。 やはり連携研究者である菊地哲也および名古屋創とは、ソリトン系の簡約あるいはKZ方程式、量子(微分)パンルヴェ型方程式などについて以前より情報を交換しているが、今後も情報交換の機会を増やし相互の知識が生かせるようにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、主として日程の関係で見送った出張があったことで生じたものであり、次年度以降の情報収集等に必要な経費として、平成24年度請求額とあわせて使用する予定である。
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