2013 Fiscal Year Annual Research Report
量子タイヒミュラー空間の視点による量子差分モノドロミー保存系の研究
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23540004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長谷川 浩司 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30208483)
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Keywords | 量子群 / 可積分系 / パンルヴェ型方程式 |
Research Abstract |
長谷川は、パンルヴェVI型を含む、ガルニエ系およびランクの高い場合の接続型方程式の変形問題を量子差分化することに成功した。実際には、普遍R行列からしかるべくこのような構造を導くための表現の取り方などが問題となった.量子差分タイヒミュラー空間およびその高ランク版(higher Teichmuller theory)との対応、すなわち幾何的な見方を徹底するためには、τ関数による双線型化がクラスター構造などと相性良く有用であると思われるので試みた。ただし細部の検討がなお必要な段階であり発表に至っていない。パンルヴェVI型の場合のワイル群作用や、一般の場合の対称性の理解についても同様である。 黒木は、対称化可能一般Cartan行列に付随するWeyl群双有理作用とそのτ函数の正準量子化を構成することに成功した。実際には古典の場合にτ函数のPoisson括弧が定義されていなかったので、古典の場合のτ函数を含めた適切なPoisson構造を見付けるという問題も同時に解いていることになる.量子化されたτ函数が古典の場合と同様に正則性を持つかどうかが問題であった. すなわち量子τ函数が従属変数の多項式になるという結果を示すことが問題である.古典の場合のτ函数の正則性は本質的にソリトンの佐藤理論から得られる.可換な場合には行列式はその成分の多項式になることから、古典τ函数の多項式性が導かれる.しかし量子版の証明は本質的に古典の場合と異なり、表現論における平行移動函手(translation functor)の理論から量子τ函数の正則性が導かれることが分かった. 黒木のτ関数と、格子模型的に長谷川が構成した量子差分系におけるτ関数の関係は、ちょうど佐藤理論と格子模型の関係をつけることにあたるが、これについては今後の研究課題である。
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Research Products
(3 results)