2011 Fiscal Year Research-status Report
退化超幾何関数と半単純リー群の離散系列表現の行列係数の関係の解明
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23540005
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
早田 孝博 山形大学, 理工学研究科, 助教 (50312757)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 保型形式 / 基本領域 / 行列係数 |
Research Abstract |
エルミート定数と呼ばれる基本領域のある不変量は渡部隆夫氏により、線形代数群の場合に拡張されている。保型形式の次元公式との関係として、ユエンの結果がある。これはエルミート定数が正則離散系列表現における有界保型形式の次元公式に応用を持つというものである。一般線形群GL(n)の極大放物型部分群の場合には、ランキン定数と呼ばれるものとその拡張は一致する。ランキン定数については、クーランジェオンの論文に詳しく、4次の場合、A4, D4, W4 格子といったルート格子が知られている。しかし、その性質は多く未解決であり、そもそも知られている例以外の存在も未知なためその例を得ることは重要である。以上述べた研究題目の背景により、またクーランジェオンとの研究連絡によるパーフェクト格子についていくつかの重要な知見を得たことにより、パーフェクト格子について深く研究することが重要であると考えるに至った。今回の研究において、(1) 4次一般線形群の場合、プリュッカ座標を用いることにより、GL(2,Z)-同値類を得た。(2) マルチネによる評価を利用すれば、GL(4,Z)-同値類は、プリュッカ座標における評価が得られた。(3) これを併せると、すべての (4,2)型-パーフェクト形式の同値類は 122通りの超曲面にのっていることがわかった。このことより、研究代表者の斜交群の場合のジーゲル基本領域における零セルの計算のグレブナー法を援用することにより、ヴォロノイアルゴリズムに類似の探索を行うという今後の研究の展開への方針を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スケジュール調整がうまくいかなかったため研究協力者との研究連絡が行えなかった。そのため、交付申請書における行列係数の超幾何関数サイドの計算の方針に関して意見交換ができず進展が無かった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年実施できなかった階数2のユニタリ群の行列係数における、退化現象をより一般のパラメータの場合での考察を行う。計算機による総当たり計算や数値計算を行い、作業仮説を立てる。そして研究協力者との意見交換を行い、研究協力者のもっている結果が適用できると思われるので、それを利用して、超幾何関数としての退化性を示し、初等関数による表示や組合せ論的係数を求める。次元公式との関連において一般化されたエルミート定数またはパーフェクト格子について一般線形群やその他の代数群の場合を考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
連携研究者、協力研究者との研究連絡および意見交換、情報提供のため、申請を行った旅費を利用して定期不定期に行われているセミナーや研究集会などに出席する。また数論、代数学、情報関連の知識を拡充するため、関係書籍の購入を、申請した物品費で行う。謝金を利用して、研究において資料の整理などを大学院生などにお願いし、研究の効率化を図る。また、すでに購入している計算機を積極的に活用し、随時必要部品、消耗品を拡充していく。研究発表などが可能な場合旅費を利用して国内外のシンポジウムに積極的に参加していく。
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