2012 Fiscal Year Research-status Report
無限次元代数群とリー環の構造の研究、および語・記号列への応用
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23540006
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森田 純 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20166416)
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Keywords | 代数群 / リー環 / 語 / 配列 |
Research Abstract |
本申請課題は3つの柱からなる。1つ目は、無限体上の無限次元カッツ・ムーディ群の構造を解明することである。これに関しては、本年度中に、大きな進展があった。ある種の無限体上で考えると、階数2の双曲型カッツ・ムーディ群が中心を法として単純群となることが証明できた。具体的には、非対角成分が、マイナス2以下、および非対角成分の積が5以上の、2×2一般型カルタン行列に対応するカッツ・ムーディ群を、有限体の代数閉包の上で考えたとき、その群が中心を法として、単純群となることが示された。すなわち、新しい単純群を発見することが出来た。2つ目は、局所拡大アフィン・リー環とそれに付随する群の構造を解明することである。これに関しては、局所アフィン・リー環の分類、とくに derivation part の分類が完全に完成したことが、今年度の大きな成果である。カルタン部分環が無限次元のときにも分類が完成したことは、今までにない新たな研究成果である。3つ目は、語と配列の構造と不変量を代数群・リー環・双代数の理論の応用として解明することである。これも、本年度の研究により、オートマトンと数の階層構造との間に、必要十分の関係が存在するという事実を発見する事が出来た。基本的なオートマトンと、語の配列と、数の階層構造(自然数、整数、有理数、実数)が、組み合わせ的な不変量を通じて、深く関係することが解明された。今までにない、非常にオリジナリティのある成果である。いずれも、平成24年5月から8月にかけての、ドイツ・フランスを主体とした国際共同研究、およびその海外滞在期間中に、本科研費の(部分的)支援を受けて、大きく進展したものである。また、サンクトペテルブルク(ロシア)やトロント(カナダ)に於ける国際学会で、あるいは国内の研究集会等で、発表・討論したり、レビューを受けたりして、研究のより一層の発展がなされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
無限次元単純群が発見されたこと、局所アフィン・リー環の分類が完全に完成したこと、および語の配列の不変量に関する必要十分条件が解明されたこと、これら3つの成果は計画の主たる目標であり、本研究課題の目的が概ね達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、研究成果を国際学会等で逐次発表して、国内外研究者と研究成果に関して討論を行い、レビューを受け、論文を作成・発表しつつある段階である、今後とも、これらを更に推進して、今後できるだけ早い時期に、研究成果を確定させるべく努力を行い、平成25年度末に、本研究課題に関する研究を成功裏に終了する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度中に購入予定であった書籍等が、諸般の事情により、計画より遅れて納入されることとなった為、年度を超えて予算を使用する計画である。平成25年度分予算については、本研究の成果発表のための旅費や論文発表等に使用する。
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