2012 Fiscal Year Research-status Report
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23540008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺田 至 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (70180081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 聡一 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (20224016)
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Keywords | リトルウッド・リチャードソン盤 / ヤング図形 / 組合せ論 / 全単射 / ロビンソン・シェンステッド対応 / 旗多様体 / 国際研究者交流 / イギリス・ポルトガル |
Research Abstract |
O. Azenhas氏およびR. King氏と共同で、形がλ/μで重みがνのLittlewood-Richardson盤と、形がλ/νで重みがμのLittlewood-Richardson盤との間の全単射に関し、その対合性の組合せ論的な証明を、私がAzenhasの論法をふまえて与えたYoung盤を用いたものと、それもヒントにしてKingが与えたhiveを用いたものとを、さらに比較検討して論文にまとめつつある。 また、この全単射がtableau switchingを用いた全単射と一致することについても、前に行ったYoung盤による証明のhive版を行う試みが進行し、またこれをヒントにして、上述のAzenhasの全単射の構成を、Littlewood-Richardson盤以外の半標準歪盤に拡張するときの困難を解決する自然な方法を獲得した。これによってAzenhasの全単射にSagan-Stanleyのinternal insertionの逆写像を与える(internal) deletionが現れることの理由も明確になった。これらを共著論文にまとめることは、これから行う。 ここまで対合性の組合せ論的証明の論文完成のめどがつけば、Hall多項式の数える対象を代数多様体として記述し、その既約成分の間の自然な対応としてAzenhasの全単射を意味づけるという論文の投稿にも支障がなくなりつつある。 また平成24年にはFPSACというフランス・カナダ・アメリカを中心に始まったこの種の代数的組合せ論では世界的に大きな集会が、岡田聡一氏・山田裕史氏らを中心に名古屋大学で開催されて海外からも多数の参加者を迎え、サテライトシンポジウムや著名な研究者の招聘もあって、分野的にも日本では大きな年であった。微力ながらもこの集会に協力できたのは大変幸いである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の順序に則して進行していない部分もあるが、当初の計画では明確でなかった部分に、予想以上に研究が進展した部分もある。 平成24年度も、全体としては研究は非常に活発に進展したといえる。Azenhas全単射の対合性の組合せ論的証明の共著論文の作成には予想しない困難もあったが、知見をふくらませる方向で解決されつつある。こちらとしてはhiveに対する理解が深まったことが大きい。また、交流を通じて相互に多くの刺激があり、tableau switchingによる全単射との一致のtableauを用いた証明の書き換えや、Azenhas全単射の一般の半標準歪盤への拡張にほぼ成功したことなど多くの進展があり、特に後者は題材の理解を一種落ち着くところまで深めることにつながった。 論理が完成したまま作成が一時待機状態になっている、Azenhas全単射の代数多様体の既約成分の間の対応としての意味づけの論文は、対合性の組合せ論的証明の論文のめどがここまでついたことにより、作成可能な状態になった。また、ある種の対称性・反対称性を課したべき零行列の集合の中で支配的なJordan標準形に関する結果についても一時停止状態であるが、昨年度の加藤真也君の結果の投稿とも関連して、こちらも進行する条件は整ってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、Azenhas全単射の対合性の組合せ論的証明の共著論文を完成させる。またAzenhas全単射とtableau switchingによる全単射との一致について、Young盤を用いた証明を論文にまとめることと、hiveを用いた証明への協力を行う。さらにAzenhas全単射の一般の半標準歪盤への拡張についても、現在持っているYoung盤やKnuth関係を用いた証明をhiveに翻訳することを試みることにより、こんどはKnuth関係の理解が深まると期待している。以上は共同研究の部分であるが、このほかAzenhas全単射の代数多様体の既約成分を用いた意味づけ、ある種の対称性・反対称性を課したべき零行列の集合の支配的なJordan標準形に関する結果の出版に向けた作業を続け、後者のルート系との関係について考察を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Azenhas氏およびKing氏との共同研究を進展させるため、機会を見て可能な限り訪問または招聘を行う。また代数多様体の既約成分を用いた意味づけについては、国内にも関連した研究があり、国内の研究者の訪問または集会などの機会をとらえての討議も必要である。国際集会等における情報収集も、最後の年度であっても必要なものについては行う。
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