2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540021
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
市川 尚志 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20201923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 健 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80093970)
宮崎 誓 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90229831)
寺井 直樹 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (90259862)
廣瀬 進 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (10264144)
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Keywords | 数論幾何 / モジュライ空間 / モチーフ / 多重ゼータ値 / モジュラー形式 / Mumford形式 / Selbergゼータ値 |
Research Abstract |
研究の具体的内容: 楕円モジュラーモチーフにおけるHecke作用素の理論を構成し、その応用の一つとして多重モジュラーL値の代数性を示した。またp進ベクトル値Siegelモジュラー形式の理論的基礎付けを与えると共に、志村による概正則ベクトル値Siegelモジュラー形式のp進版を構成して、そのCM点における代数性を示した。さらに、代数曲線のモジュライ空間上で定義されるMumford形式について、Siegelモジュラー形式や無限積による明示式を導き、Kleinの公式における定数の決定やSelbergゼータ値の有理性への応用を与えた。 研究の意義と重要性: 楕円モジュラーモチーフは、数論幾何において最近注目を集めている研究対象であり、混合モチーフ、Galois表現、多重モジュラーL値などのテーマと深く関わりがある。本研究はこのテーマに新しい進展をもたらすと共に、代数曲線やAbel多様体のモジュライ空間として得られる高次元のモジュラー多様体の数論幾何的研究を進めて、モジュラー形式やゼータ関数への応用を与えた。特に数論的Riemann-Rochの定理と数論的Schottky-Mumford一意化理論を用いることにより、概正則ベクトル値Siegelモジュラー形式及びそのp進版、さらにSelbergゼータ関数について、その特殊値の代数性や有理性を示すことにより、数論の重要問題である有理性について新しい方法と結果を提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
楕円モジュラーモチーフについては、以前の議論の誤りを修正して当初の計画を一段落させることができた。またp進ベクトル値Siegelモジュラー形式、Mumford形式などの多変数モジュラー形式についての数論的研究を進展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
多重モジュラーL値の具体的な計算とBirch and Swinnerton-Dyer予想への応用についての展望を与える。またp進ベクトル値Siegelモジュラー形式のL関数やSelbergゼータ値の特殊値についての数論的研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・研究分担者と共同して、上記の方策に基づき研究を進める。 ・代数幾何学、数論についての専門書及び論文集を購入し、研究分担者と共同で行うセミナーでこれらの最新の成果を学ぶ。 ・他大学・研究機関(外国を含む)に出張し、数論幾何についての最新の成果を勉強し、またこれらの話題について共同研究及び成果発表を行う。 ・他大学・研究機関(外国を含む)の研究者を招いて、数論幾何を中心とするテーマについての講演会及び共同研究会を行う。 ・他大学・研究機関(外国を含む)で行われる数論幾何を中心とする研究集会について、参加者への旅費等の支給を中心とした資金援助を行う。
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