2011 Fiscal Year Research-status Report
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23540026
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
五味 靖 上智大学, 理工学部, 准教授 (50276515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筱田 健一 上智大学, 理工学部, 教授 (20053712)
中島 俊樹 上智大学, 理工学部, 教授 (60243193)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 岩堀ヘッケ環 / 鏡映群 / マルコフトレース / ガウス和 |
Research Abstract |
数論で扱われる通常のガウス和は、有限体上の乗法的指標と加法的指標の値の積和として表わされる。一般の有限群に対しても、乗法的指標としては通常表現の指標を取り、加法的指標に相当するものとしては、モジュラー表現の指標値に有限体の加法的指標をかませたものを考えることによって、ガウス和が定義される。筱田健一氏、前田大貴氏との共同研究において、特にその有限群がワイル群の場合に対しては、モジュラー表現として鏡映表現を取った場合にガウス和の値をすべて決定することに成功した。G(r,p,n)と表される複素鏡映群の場合についても、鏡映表現から自然にモジュラー表現を定めて、その場合のガウス和をすべて決定している。 この研究成果を踏まえて、当該年度はワイル群のガウス和のq類似として、岩堀ヘッケ環上のガウス和を研究した。対称群のq類似であるA型岩堀ヘッケ環に対しては、対称群上に定めたガウス和の自然なq類似としてガウス和を定義し、その値を決定することができた。有限群の場合にはモジュラー表現を決めて、それに付随してガウス和が定められたが、A型岩堀ヘッケ環に対しては、まず対称群に対して定めたガウス和の自然なq類似を定義し、それに対応するトレース関数(加法的指標の類似物)を決めるという、逆の手順を用いた。このトレース関数はマルコフトレースとインデックス指標を用いてきれいな形で表され、とても興味深いものであることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ワイル群のガウス和のq類似として、一般の岩堀ヘッケ環に対してガウス和を定めることが目標であったが、まずはA型の場合にこの目標を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はB型から始めて、例外型、さらには複素鏡映群G(m,p,n)のq類似である有木-小池代数に対するガウス和を決定していく。A型の場合、ガウス和はマルコフトレースを用いて記述されたことから、他の型の場合もそれぞれの型のマルコフトレースと密接な関係にあると期待している。 A型の場合にはガウス和を定義することができたが、まだ問題がある。対称群のガウス和が鏡映表現に付随して定められたことを考えると、岩堀ヘッケ環上のガウス和に対応するトレース関数も岩堀ヘッケ環の鏡映表現と密接な関係にあるべきものと考えられるが、その関係はまだ見えていない。その関係の解明についても研究していく。 また、オリジナルのガウス和が持っている様々な性質が、ワイル群上のガウス和や岩堀ヘッケ環上のガウス和において、どのように拡張されるかについて研究していく。 研究が順調に進むように研究分担者とは密に連絡を取り合い、必要に応じてセミナーを開くなどする。また、本研究課題に深い見識を持つ様々な研究者と交流を持って、研究を推進するためのヒントを得ていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度は震災の影響から、補助金の金額の正式決定が遅くなり、それまでは出張を自粛するなどしたため、結果的に20万円の繰越金を出すことになった。 次年度は、研究集会に積極的に参加したり、関係する研究者と随時研究打ち合わせを行うなどしていく。また、数値計算に必要なコンピューターやソフトウエアを充実させて、研究を順調に進めていく。
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