2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540026
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
五味 靖 上智大学, 理工学部, 准教授 (50276515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筱田 健一 上智大学, 理工学部, 教授 (20053712)
中島 俊樹 上智大学, 理工学部, 教授 (60243193)
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Keywords | 岩堀ヘッケ環 / 鏡映群 / マルコフトレース / ガウス和 |
Research Abstract |
数論で扱われる通常のガウス和は、有限体上の乗法的指標と加法的指標の値の積の和として表される。一般の有限群に対しても、この解釈に基づいて拡張することにより、ガウス和を定義することができる。筱田健一氏、前田大貴氏との共同研究において、有限コクセター群や複素鏡映群G(r,p,n)上のガウス和の値をすべて決定している。 この研究成果を踏まえて、前年度はA型ワイル群である対称群上のガウス和のq類似として、A型岩堀ヘッケ環上のガウス和を研究した。対称群上のガウス和の自然なq類似としてガウス和を定義し、その値を決定した。また、ガウス和に付随して定まるA型岩堀ヘッケ環上のトレース関数の標準基底における値を決定した。このトレース関数はマルコフトレースとインデックス指標を用いて表される。 当該年度は当初、B型岩堀ヘッケ環上のガウス和の値の決定に向けて研究していた。しかし、パラメーターが2つになることの難しさをうまく克服することができず、なかなか思うように研究成果が得られなかった。そこで、A型の場合の研究をより深めることの重要性を感じ、対称群およびA型岩堀ヘッケ環上のガウス和の値を決定する上で、非常に重要な役割を果たした対称関数環上の自己同型写像Φについて研究した。A型の場合、この自己同型写像Φによるシューア関数の像の決定が重要であった訳だが、当該年度は他の様々な対称関数のΦによる像を具体的に計算した。また、Φをホール代数上に拡張した場合について研究した。 また、De Las Penas氏と共同研究を行い、鏡映群の研究の応用として、ナノトーラスの対称群の分類をほぼ完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度はB型岩堀ヘッケ環上のガウス和を定め、その値を決定することを目標としていたが、その目標を果たすことはできなかった。ただ、その代わりに、A型の場合に重要な役割を果たした、対称関数環上の自己同型写像Φについて研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べた対称関数環上の自己同型写像Φであるが、さらに研究を進め、まずはマクドナルド多項式のΦによる像を計算し明確な形で記述したい。この研究を基に、対称群およびA型岩堀ヘッケ環上のガウス和と、一般線型群上のガウス和の関係が明確になるのではないかと考える。さらには、量子群上のガウス和の構成に対して道を開くきっかけとなるのではないかと考える。 それと並行して、B型岩堀ヘッケ環上のガウス和の具体的な構成および値の決定についても研究していく。 また、オリジナルのガウス和が持っている様々な性質が、ワイル群上のガウス和や岩堀ヘッケ環上のガウス和において、どのように拡張されるか、あるいはどのような意味を持つかについて研究していく。 研究が順調に進むように研究分担者とは密に連絡を取り合い、必要に応じてセミナーを開くなどする。本研究課題に深い見識を持つ様々な研究者と交流を持つために、研究集会に参加したり、研究者を招聘して研究打合せを行うなどして、研究課題を推進するためのヒントを得ていく。また、数値計算に必要なコンピューターやソフトウエアを充実させて、研究を順調に進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(9 results)