2011 Fiscal Year Research-status Report
実解析的アイゼンシュタイン級数を含む多重級数の研究
Project/Area Number |
23540032
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
野田 工 日本大学, 工学部, 准教授 (10350034)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | Eisenstein級数 / 多重ゼータ関数 / 漸近展開 |
Research Abstract |
Lipschitzの公式の二重化と,その応用として二重Eisenstein級数のFourier級数型変換公式等を与え、そこから漸近展開・特殊値等の明示公式を得た。証明においては通常用いられるPoissonの和公式ではなく,Mellin逆変換型(Barnes型)の積分変換公式を援用している。前年度までに得ていた研究結果として上半平面のペアに関する二重化があるが,この場合二重Eisenstein級数の変換公式は正則Eisenstein級数のFourier級数展開の拡張と考えられる。今年度新たに正則二重Eisenstein級数の関数等式も導出した。上半平面と下半平面のペアに関する二重化を与えるためにはtwisted Mellin-Barnes formulaを導入する必要がある。これは超幾何関数における接続公式にBarnes型積分表示を適用し特殊化した関係式である。ここからLipschitz公式の非正則版二重化を行うことができて,非正則版二重Eisenstein級数のFourier級数型変換公式等を与えることに成功した。変換公式はBarnes型積分表示で与えられるので,さらに進んで漸近展開公式を導出できる。漸近公式からは非正則二重Eisenstein級数の関数等式,自明な零点,特殊値の明示公式等が示された。これらの結果は実解析的一変数Eisenstein級数のFourier級数展開およびそこから従う諸性質の自然な一般化とみなすことができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は正則・非正則二重Eisenstein級数の変換公式・漸近展開から導出される性質‐‐関数等式,自明な零点,特殊値の明示公式‐‐が得られた点については当初の目標以上の結果が得られたと考えられる。しかしこの二重Eisenstein級数を主に研究対象としたため、一変数実解析的Eisenstein級数の複素挙動(t-評価)に関する研究がやや遅れることとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
一変数実解析的Eisenstein級数について,次の各項目についてそれぞれの手法を実行していく。(1)複素パラメーターの虚部についての一様性:特殊関数の一様展開はEisenstein級数の複素パラメーターの全範囲をカバーできない(数論的関数の和の評価に困難がある)が,場合分けにより虚部についての一様性を求めていく。(2)Truncated summation formula:残余項の評価を行う。一様漸近展開を可能な限りtruncateする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度についても研究計画の効果的な遂行のため, i)定期的なセミナーを実施する; ii)国内外で開かれるシンポジウム・セミナーへの積極的な参加と意見・情報交換をおこなう; iii)研究に必要な論文・プレプリントの収集と,関係する図書の購入・充実を図る; iv)各分野の専門家を招待または訪問し,研究集会の実施・参加を行う。このため,旅費,謝金,図書,OA消耗品,印刷費,等に研究経費を使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)