2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540033
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
村瀬 篤 京都産業大学, 理学部, 教授 (40157772)
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Keywords | Borcherds積 / 対称性 / 保型形式 / テータリフト / L関数 / 周期 |
Research Abstract |
1.Borcherds積の研究: Borcherds積は、直交群G=O(2, n+2)上の無限積を持つ保型形式であり、整数論のみならず、無限次元Lie環論や数論幾何において重要な役割を果たしている。平成22年度までの研究協力者のHeim氏との共同研究において、Borcherds積が「積対称性」という強い対称性を持つことを示した。自然な問題として、積対称性を持つ保型形式がBorcherds積になるかという課題がある。平成24年度に、積対称性を持つ保型形式のフーリエ・ヤコビ展開係数が満たす漸化式を研究した。この結果に基づいて、平成25年度には、積対称性を満たす保型形式が正則ならば、Borcherds積になることを証明した。これにより、正則な場合には、Borcherds積の積対称性による特徴付けが完成した。また、Borcherds積Fに対応する弱正則ヤコビ形式(input data)をFのフーリエ・ヤコビ係数から求める写像を構成した。 2.平成23年度に、Heim氏との共同研究において、ヒルベルト保型形式の場合に、Borcherds積が積対称性を持つことを示した。この場合に、Borcherds積が積対称性により特徴づけられるかについては、未解決の興味深い問題である。 3.荒川リフトの研究: 有理数体上の定符号四元数環Dの乗法群とGL(2)の積上の保型形式(f, g)からのテータリフトF(f,g)は荒川によりはじめて研究され、荒川リフトと呼ばれる。平成23年度に、研究協力者の成田宏秋氏との共同研究において、F(f,g)のフーリエ係数のある種の平均の絶対値の二乗が、(f,g)の周期を用いて記述されることを示した。また、それらと(f,g)のL関数の特殊値との関係を表す公式を証明した。
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Research Products
(2 results)