2012 Fiscal Year Research-status Report
ゼータ関数を軸とした線型符号および数論的関数の研究
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23540034
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
知念 宏司 近畿大学, 理工学部, 准教授 (30419486)
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Keywords | ゼータ関数 / 剰余位数 / 平方剰余 / 自然密度 |
Research Abstract |
平方剰余の条件のついた剰余位数分布問題に関し、残っている問題を考察した。また、前年度からの結果は査読付き論文として出版された。概略であるが、整数 a と素数 p(p は a を割らない)を取る。mod p の既約剰余類のなす乗法群を考え、そこでの a の位数を D_a(p) とおく。別に整数 b を取ってルジャンドル記号を (b/p) で表す。そして集合 S_{a,b}(k,l)={p は素数; p は a,b を割らない、D_a(p)≡l (mod k)、(b/p)=1} の自然密度を考察する。研究代表者はかつて、Q_a(k,l)={p は素数; p は a を割らない、D_a(p)≡l (mod k)} の自然密度を考察した。今回の問題は、Q_a(k,l) に条件 (b/p)=1 を付け加えることの影響を探るものである。前年度に続き、k=4 で、l=0 の場合を考察し、自然密度を得た。 この年度に行なった他の研究活動として、研究集会のオーガナイザーの仕事が挙げられる。これは 2012 年 10 月 29 日から 31 日まで、京都大学数理解析研究所で開かれた「解析的整数論とその周辺 - 近似と漸近的手法を通して見た数論」である。提案書執筆、講演募集、プログラム作成、当日の進行等を行なった。研究代表者の関連する分野の講演(海外からの講演者も含む)を広く集め、活発な議論を行なうことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平方剰余条件つき剰余位数分布問題に関し、今後の問題を整理することができた。また、これまでの成果が査読付き論文として出版されたことは、本結果の価値が認められたことの証であり、大きな実績といえる。また、研究集会のオーガナイザーを務めることで、関連分野の発展にも寄与できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平方剰余条件つき剰余位数分布問題に関しては、素数を分類する法を2のべきにした場合が、新しい問題として考えられる。これは従来開発されてきた手法が応用可能である。剰余位数分布問題に関して、2つの素数の積を法とする場合で、素数の動く範囲を正方形領域以外の領域とする場合を考察することを考えている。これには全く新しい発想が必要な可能性もある。また、基数を固定して素数を動かした場合の離散対数の分布を考察することも、暗号との関連があり、重要な課題である。線型符号のゼータ関数の理論に関しては、跡符号のゼータ関数の構成とその性質究明、部分体部分符号との関連、extremal 符号系列のうち、リーマン予想が成立することが予想されていながら証明されていないものについて、その証明法を探求する、といった問題が考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として、整数論、符号理論、暗号理論関連の書籍に13万円程度を、ノート、メモリー、ファイル等、文具に2万円程度、成果発表、情報収集などのための国内旅費として15万円程度、外国人研究者招へい、または成果発表のための海外旅費として30万円程度使用する予定である。
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