2013 Fiscal Year Research-status Report
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23540042
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西田 康二 千葉大学, 統合情報センター, 教授 (60228187)
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Keywords | 可換環 / シンボリックパワー / シンボリックリース代数 |
Research Abstract |
この研究では、体上の3変数多項式環(又は3次正則局所環)において高さ2の素イデアルをとり(これは問題が非自明になる状況で最も単純なものである)、そのシンボリックパワーを計算する為の新しい方法を確立することを目標とした。さらに、シンボリックリース代数のネータ性に対する判定法の改良も模索し、基礎体が正標数の場合を中心として、真に新しい例を構成することを目指した。 今年度は標数が2の体上で(13、14、17)に対応するスペース・モノミアル・カーブの定義イデアルPを考え、前年度までの研究で得られた成果を応用して、Pのシンボリックパワーの計算を実行してみた。コンピュータを用いた計算では、このPは我々が求めている「真に新しい例」の有力な候補であり(しかも、その様な候補の中で最も単純なものであると思われる)、その記号的リース代数は有限生成にはなっていないのではないかと期待している。コンピュータでは、当然、有限個のべき乗しか計算できない為、有限生成でないことを保証するのは不可能であるが、初年度の研究で得た方法を用いれば、全てのnに対してシンボリックなn乗(これをP(n)で表す)を計算することも可能なのではないかと考えている。nが2、3の場合には確かにそれを実行することができた。P(2)とP(3)だけを目標に据えれば、その計算はもっと簡単に済ませることができるのだが(もちろんコンピュータでの計算も可能)、一般のnに対するP(n)の計算を目標として作業を進め、その途中経過からn=2、3の場合の結果を導いた次第である。この作業により、シンボリックパワーの「新しい生成元」がどのような仕組みで出現するようになるのかが見えてきたことは大きな収穫であると感じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の欄でも述べた通り、具体的な成果として挙げられるものは、目標としている素イデアルPに対して、初年度の研究で得られた方法でP(2)とP(3)の計算が実行できたということだけであり、研究の進捗状況としてはやや遅れているという印象を受けるかもしれないが、一般のnに対するP(n)を目標として計算を進め、その途中経過としてn=2、3の場合の結果を導いている訳であるから、この成果は十分に意義のあるものであると捉えている。また、シンボリックパワーの「新しい元」がどのような仕組みで出現するのかも少しずつ見えてきたので、当初の目標には確実に近づいていると感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要の欄に述べてあるPに対して、シンボリックパワーの計算をさらに進める。一般のnに対してPの記号的n乗が計算でき、その結果としてシンボリックリース代数が有限生成でないことが従えば、理想的な成果であると言える。もちろん、予定通りに計画が進まない可能性も高いが、そうした場合であっても、新たに得られた正標数の体上での情報を利用して、標数0の体上でシンボリックリース代数が有限生成にならないようなPのクラスを、既に知られている例を含む形で大幅に広げることは十分に可能であろうと思う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に、標数がゼロの場合を中心として解析を進め、それと関連する話題をテーマとする研究集会で発表する予定であったが、正標数の場合に解析すべき重要な対象が見出されたので、計画を変更してそちらの解析を行うこととしたため、未使用額が発生した。 正標数の場合の解析と研究集会での発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てたい。
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Research Products
(2 results)