2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540043
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
野間 淳 横浜国立大学, 環境情報研究院, 教授 (90262401)
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Keywords | 射影多様体 / 斉次イデアル / 定義方程式 / 射影埋め込み / 線形射影 / カステルヌーボ-マンフォード正則数 |
Research Abstract |
本研究では,次数d,次元n,余次元eの射影多様体Xに対し,「Xを含む次数(d-e+1)次以下の超曲面の共通部分はXと一致する」「(d-e)次以上の超曲面が作る線形束はX上で完備」ということを示すことを目標に設定し,代数幾何学や射影幾何学の新たな知見を得ることを目指している.射影多様体Xの非双有理中心点とは,点からの線形射影がXとその像の間の双有理写像とならない中心点のこととし,B(X),C(X)を,それぞれ,Xの外,Xの内の非双有理中心点の集合とする.今年度前半には,昨年度後半に引き続き,空でないC(X)を持つ非特異な射影多様体について,C(X)を分離するXの定義方程式を,代数的な手法で,構成する方法について研究した.特に,C(X)が1次元以上の集合となっている非特異なX(ロス多様体と呼ぶ)のカステルヌーボマンフォード正則数の上限の評価を引き続き検討した.昨年度,得られた評価を改良する研究を行った.ある不変量が真に降下すれば,全ての場合について,(d-e+1)-正規といえることが分かり,他方で,単項式で生成される線形系で埋め込まれた場合には,不変量が真に降下することが分かった.全ての場合について,不変量が真に降下するかを調べることは,次年度の課題となった.今年度後半では,C(X)が正則な射影多様体の2重点因子の基点になるかどうかを研究した.これまでの研究で,正則な射影多様体の2重点因子はC(X)以外に基点を持たないことが示されていた.結果として,C(X)が1点集合となる正則な射影多様体で,その点からの点射影の像が有理スクロールとなる場合について,2重点因子に対応する完備な線形系が基点を持たないことを証明した.この結果やここで得られた手法をまとめるとともに,残る場合に適用していくことが,次年度の課題となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一の問題「Xを含む次数(d-e+1)次以下の超曲面の共通部分はXと一致する」については,空でないB(X)やC(X)を持つ射影多様体Xの構造を捉え,B(X)やC(X)を分離する方程式を構成することが本質的な問題である.今年度までの研究により,非特異な射影多様体について,C(X)が一次元以上の集合となっている場合やB(X)が点集合の場合について研究が進んでいる.また,第一の問題を特殊な場合に解決できることが,第二の問題「(d-e)次以上の超曲面が作る線形束はX上で完備」と関係していることも分かってきた.更に,C(X)を持つ射影多様体について,2重点因子を通して新たな構造が分かった.これらのことから,おおむね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果は,まだ改善の余地があり,この点を研究することが目標達成のために必要であり,25年度の課題である.また,B(X)やC(X)が0次元集合となる射影多様体について,線形束の正規性を調べることが,今後の課題である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度の残額が生じたのは,予定していた図書が年度内に入手できなかったためで,H25年度に購入予定である.
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