2011 Fiscal Year Research-status Report
可換代数学における完全交叉のレフシェッツ性問題に関する研究
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23540052
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
張間 忠人 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (30258313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 純三 東海大学, 理学部, 教授 (40022727)
五十川 読 熊本高等専門学校, 共通教育科, 教授 (80223056)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 可換環 / 完全交叉 / レフシェッツ性 / m-fullイデアル / componentwise linearイデアル / Rees性 |
Research Abstract |
東海大学の渡辺純三氏, 熊本高等専門学校の五十川読氏とアルティン次数付環のレフシェッツ性問題に関する研究を行った. 渡辺氏の協力の下で m-fullイデアルのレフシェッツ性問題に取り組み, また, 五十川氏の協力の下で m-fullイデアルとRees性に関する問題等に取り組み, 一定の成果を得ることができた. 主要な結果は以下の通りである. 1. m-fullイデアルが弱いレフシェッツ性をもつための必要十分条件をその次数付ベッチ数の言葉で記述することができた。これは, componentwise linearイデアルに関する2004年のWiebeの結果の拡張である. また, 副産物として, completely m-fullイデアルとcomponentwise linearイデアルは同値な概念であることを証明した. これらの成果は日本数学会で発表し, 論文としてまとめ専門誌に投稿した. 2. アルティン次数付環のレフシェッツ性問題に関するこれまで8年間の研究成果をレクチャーノートとしてまとめ専門誌に投稿した. これは, 前野俊昭氏(京都大学),森田英章氏(室蘭工業大学),沼田泰英氏(東京大学/JST CREST),和地輝仁氏(北海道教育大学),渡辺純三氏との共同研究である. 3. 2変数の場合, m-fullイデアルとRees性をもつことは同値であることが知られている(1987年の渡辺純三氏の結果)が, その初等的な証明方法を見つけた.また, アルティン局所環の一般元の振る舞いに関する考察を通して, 新しい研究対象「アルティン環上有限生成加群のなす圏のホール代数」が見つかり, それについても議論を進め, 一元体上の次数付複体の圏について新しい結果が得られる見通しが立った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで8年間継続してきた研究の総括として, 完全交叉のレフシェッツ性問題を主題としたレクチャーノートを200頁にまとめ,専門誌に投稿することできた. さらに, 完全交叉と離れた位置にあるm-fullイデアルのレフシェッツ性に関する研究成果を日本数学会で発表し,論文としてまとめ専門誌に投稿することができた. とくに, m-fullイデアルのレフシェッツ性についての考察を通して, 新たな研究課題が明らかになりつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通り, 研究分担者・連携研究者のメンバーと適宜セミナーと研究打合せを行い議論し理論を進展させる. 「完全交叉のレフシェッツ性問題」と「m-fullイデアルとRees性に関する問題」等については, 研究分担者の渡辺氏と研究打合せを密に行う. とくに, 9月に開催を予定している国際研究集会では, レフシェッツ性問題に関する研究の最新の情報収集・情報交換を渡辺氏が行う. また, 単行式イデアルのm-full性については, 研究分担者の五十川氏と研究打合せを密に行う. 完全交叉のジェネリックイニシャルイデアル決定問題等に関しては連携研究者の和地氏と研究打ち合わせを密に行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者の渡辺純三氏主催による国際研究会「Aspects of SLP and WLP」を9月に東海大学のハワイ施設で開催する. 前年度予定していた科研費の分担金30万円を, 2012年度に繰り越した理由は, それを利用してその研究会に海外の研究者2名を招待するためであった. 渡辺氏は, さらに多くの海外研究者をその研究会に招待するため, あらたに科研費を申請し, 幸い, それが採択された. 従って, ハワイの研究会に海外研究者を招待するためには, 渡辺氏の2012年度の科研費をすべて充当することにし, 張間の分担者としての科研費は, 使用用途を変更せず, 物品費と旅費に使用することになった. また, その他の今年度の研究費は, 計画通り, 代数学シンポジウム, 可換環論シンポジウム, 日本数学会等への出張旅費, 研究分担者等との研究打合せ旅費に充てられる.
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