2012 Fiscal Year Research-status Report
可換代数学における完全交叉のレフシェッツ性問題に関する研究
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23540052
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
張間 忠人 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (30258313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 純三 東海大学, 理学部, 特任教授 (40022727)
五十川 読 熊本高等専門学校, 共通教育科, 教授 (80223056)
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Keywords | 可換環 / 完全交叉環 / レフシェッツ性 / m-full イデアル / Rees性 / ゴレンスタイン環 / アルティン環 / componentwise linear |
Research Abstract |
渡邊純三氏の協力の下で,投稿していた論文のレフェリーレポートについて議論し,正標数においても,若干の仮定の下でcompletely m-full イデアルとcomponentwise linear イデアルは同値であることが分かり,その改訂版を専門誌に再投稿し受理された. アルティン次数付環のレフシェッツ性問題に関するこれまでの研究成果を講義録(前野俊昭氏,森田英章氏,沼田泰英氏,和地輝仁氏,渡邊純三氏との共同研究)としてまとめ2013年3月に再投稿した.さらに,それに関して渡邊氏は,ヘッセ行列式が恒等的に消える代数式に関するGordanとNoetherの結果(1876年)の証明と彼らのやり残した課題について,2012年9月に開催されたハワイ東海大における国際研究集会(渡邊氏主催)で発表し,Nagel,Migliore 達の推進する4変数完全交叉環の弱いレフシェッツ条件の研究に大きく貢献できた.また,同研究会に参加したゲッティンゲン大学名誉教授の Larry Smithにより,代数的トポロジーの立場より,いくつかの共同研究のテーマを得ることができた.とりわけ,正標数における弱いレフシェッツ条件に新しい意味をみつけることができた. 強いレフシェッツ性は持たないが弱いレフシェッツ性をもつゴレンスタイン環の組織的な構成方法を与えた.その方法で得られる例は講義録の中でまとめた. 五十川読氏との協力の下で,m-full性とRees性に関する研究を進めた.イデアルに対して定義されているm-full性とRees性を,加群の場合に拡張して定義し,弱いレフシェッツ性を持つ次数付加群に対しては,m-full性とRees性が 一致していることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
m-full イデアルのレフシェッツ性と,completely m-full イデアルとcomponentwise linear イデアルの同値性に関する論文を,専門誌 Illinois Journal of Mathematics に再投稿し受理された.また,完全交叉のレフシェッツ性問題を主題とした講義録のレフェリーレポートを議論し,改訂版を再投稿することができた.さらに,単行式イデアルおよび加群のm-full性について研究することにより,アルティン局所環の一般元の振る舞いに関する研究について徐々にではあるが成果が得られている.一方で,関連分野の研究者との情報交換がすすみ,様々な問題が提出され新しい問題は山積している.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通り,研究分担者と適宜セミナーと研究打ち合わせを密に行う.とくに,本研究課題の目的の一つである,不変式で生成される完全交叉環のレフシェッツ性問題を解決するための新しい手法を見つけたい.また,関連分野(特に、正標数アルティン環、位相空間のコホモロジー環、超平面の配置、Maria-Miro-Roig氏の提案するTolguiatti system等)に、レフシェッツ条件がどのように応用されるかを調べたい.分担者の渡邊氏は,2年以内にAnthony Iarrobino氏,Juan Migliore氏,Uwe Nagel 氏に声をかけて,AIMにおける研究集会開催を目指す.さらに,村井聡氏の発見した,Rees 性を持ちなおかつm-fullではない例の一般化,および,組み合わせ論的手法の応用を計りたい.分担者の五十川氏は,一般のアルティン局所環ではなく,単項イデアルによる商で表されるアルティン局所環を詳しく調べることにより,アルティン局所環の一般元の振る舞いに関する研究を継続する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
我々の研究の究極の目標は,(1)完全交叉環がシュペルナ性を有することと(2)標数ゼロにおいては,強いレフシェッツ条件を有することを証明することである.しかし,現在までに得られた手法では,この問題を完全な形で証明することはできない様だ.問題の解決の為には長期戦略が必要である.したがって,(1)関連性のある周辺領域の研究者との情報交換,(2)若手研究者の育成などを考えている.情報を交換するための研究打ち合わせ,成果発表の為の研究集会を開催および学会参加などに予算を使いたい.渡邊氏が今年度の予算を使い切らなかった理由は,東海大ハワイ校における研究会の準備,講義録の校正作業(周辺の問題の解決も含む)などがあり,当初の計画通りの研究ができなかったためである.また,五十川氏との共同研究では,結果がなかなか出せなかったために,研究打ち合わせが予定していた回数実施できなかったので,繰越金が生じてしまった.今年度は密に打ち合わせをし研究を進める予定である.
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Research Products
(2 results)