2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540057
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
中野 哲夫 東京電機大学, 理工学部, 教授 (00217796)
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Keywords | Boolean Groebner Bases / 数独型パズル / 代数的組合せ論 |
Research Abstract |
平成25年度は,前年度に引き続き,Boolean Groebner基底を用いた連立Boole方程式の1点集合解を求める井上アルゴリズムの応用として,与えられた連立Boole 方程式の難易度を数学的に測る指標について研究した. 連立Boole 方程式を井上アルゴリズムで解く場合,実行結果は樹形図で表される.このアルゴリズムでは,樹形図の分岐点で変数を1つ選択する必要があるが,分岐点で任意の可能な変数を選ぶことを許した場合にすべての樹形図の井上数の最小値を,井上不変量と定義する.この井上不変量は連立Boole方程式の不変量であって,この方程式の難易度を良く表している.井上不変量は計算が大変難しいので,私達は,分岐点で選択する変数の数を標準選択戦略と呼ぶ方法によって制限することにより,計算可能井上不変量を定義した.計算可能井上不変量は,井上不変量を良く近似する不変量で,実際に計算可能な量である. 私達はまず,数独型パズルから生じる連立Boole方程式の場合に,計算可能井上不変量を多くの例について計算し,計算可能井上不変量が数独型パズルの(人間にとっての)難易度と強い相関関係があることを実験で確認した.また,サイズの小さい数独型パズルである,4独,対角型5独および対角型6独の(計算可能)井上不変量を計算し,4独および対角型5独の場合は,2個のパズルを除いて井上不変量はすべて自明であること,および対角型6独の場合は,大きな井上不変量をもつパズルが多数存在することを示した.以上の結果は,3本の論文(うち2本は投稿中,1本は掲載受理済み)にまとめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Boolean Groebner 基底を用いた連立Boole方程式の難易度の数学的定式化(計算可能井上不変量および井上不変量)に成功したことは大きな成果と言える.特に,数独型パズルの場合に,これらの不変量が数独型パズルの難易度を大変良く表していることを実験的に検証し,また,サイズの小さい場合の数独型パズルの井上不変量をある程度分類することができたのも大きな進展と考える. 6独以上のサイズでは,計算機による検証が難しくなることがわかってきたので,井上不変量のより数学的な性質の研究も進める必要を感じている. 代数的組合せ論のもう1つの課題である,グレブナ基底とトーリック多様体の関係については,現在,配置行列に付随する凸多面体,特に有限グラフの辺凸多面体の三角形分割の基礎研究を行っているところである.
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Strategy for Future Research Activity |
井上不変量については,実行結果の分岐図において分岐数が必ず2以上であることが実験で確認されている.分岐点の定義からは,分岐数が0または1である可能性もあるが,それが起こらない,すなわち「樹形図では分岐数は必ず2以上である」という分岐数予想をたてて,研究する予定である.この予想の証明は,井上アルゴリズムの中心的概念である Almost Solution 多項式の性質を細かく見ることによってできると考えている. 一方,配置行列に付随する凸多面体,特に有限グラフの辺凸多面体の三角形分割の研究は,グレブナ基底のよい応用であって,特に,いつregular unimodular な三角形分割をもつかなど興味深い問題があるので,基礎研究がすみしだいこちらにも取り組みたい.
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Research Products
(1 results)