2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540059
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
渡辺 敬一 日本大学, 文理学部, 教授 (10087083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 健一 日本大学, 文理学部, 教授 (80240802)
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Keywords | 特異点 / 可換環論 / 有理特異点 / 重複度 / F-threshold / F-pure rings / Hilbert-Kunz 重複度 / a 不変量 |
Research Abstract |
代数幾何学の特異点の可換環論的性質を調べ,代数幾何学的性質と可換環論的性質の関係を調べるのが本研究の目的である.今年度の成果としては次のようなものが挙げられる. 1. Ulrich イデアル, Ulrich 加群の研究.Ulrich 加群の概念は古くから知られていたが,この概念の一般化及び2次元有理特異点,単純楕円型特異点上の Ulrich イデアルの分類を行った (後藤四郎,大関一秀,高橋亮,吉田健一各氏との共同研究).また,これに伴い,一般の2次元特異点の整閉イデアルの興味深い性質を good ideal の存在との関係で顕在化することができた.(奥間智弘,吉田健一氏との共同研究) 2. F-pure 環,F-有理環や有理特異点の重複度の上限を次元と埋め込み次元によって与えることができた.(Craig Huneke 教授との共同研究) 3. 2次元の孤立特異点で,重み付き超曲面として表されるものの分類が斎藤恭司氏によってて行われて来たが,可換環論的手法で,与えられた a-不変量をもつ重み付き超曲面の分類に成功した.(a(R) \le 6; a(R) = 1 のときは Arnold の "14 exceptional singularity"を含む.) 以上のような興味深い結果が得られ,大変実り多い年だった.来年は研究の完成を目指して,これらのテーマを更に掘り下げて行きたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に述べたように,順調にいろいろの成果を挙げているが,当初の目標とした問題の中で,例えば F-threshold の極限値の存在や,F-threshold の幾何学的不変量との関係などの問題が残っている. また,good ideal の研究など,研究を進めて行く途中で本研究に関する重要性が増して来たものもあり.これからの研究成果が期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は本研究の最終年度となるので,当初に挙げた問題の解決に全力を注ぎたい. 特に F-threshold, Hilbert-Kunz 重複度など,正標数の手法を用いた特異点の研究を行うと共に,代数幾何学的手法を用いた2次元特異点の整閉イデアルの研究,特に good ideal, core の概念との関連などに主眼を置いて進めて行きたい. このような研究を推進するために,国内,海外の研究者たちとの意見交換,共同研究が大変有効である.幸い今年度前半は Berkeley の MSRI (Mathematical Sciences Research Institute) における commutative algebra special year が進行中で,同研究所における.世界各国の多くの研究者たちとの交流が 期待できる.また,国内の種々の研究集会での共同研究,意見交換も行いたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記に述べたように,Berkeley, MSRI における共同研究および Workshop の出席, フランス Luminy, ヴェトナム Hanoi における,研究集会へ出席,成果発表などの海外旅費,国内の諸研究集会における成果発表,研究打ち合わせのための外国,国内旅費を支出したい.また,研究資料として,関係分野の書籍を買い入れたい.また,数値的不変量の計算のためのコンピューター,及び計算ソフトにも支出したい.
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Research Products
(6 results)