2011 Fiscal Year Research-status Report
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23540060
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
中村 幸男 明治大学, 理工学部, 准教授 (00308066)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | Stanley-Reisner 環 / Cohen-Macaulay 環 / Buchsbaum 環 / k-Buchsbaum 環 / 局所コホモロジー / 被約コホモロジー / マトロイド / グラフ |
Research Abstract |
本研究の目的は、グラフやマトロイドなど離散数学的概念を多項式環上の単項式イデアルといった代数学的な対象物に結びつけ、可換環における代数的な性質の離散数学的な言葉での記述を試みる。また、代数学の問題を離散数学的手法を用いて解決することを目標とする。具体的には単体的複体から定まるStanley-Reisner イデアルや Stanley-Reisner 環の代数的性質を単体的複体の組み合わせ論的な特性で記述することである。先行する結果として Stanley-Reisner イデアル I に対し、Iの記号的べきや通常べきで剰余をとったときの剰余環の環論的性質の研究が Hoa, Minh, Trung らによって始められる。彼らは単体的複体が1次元の場合にこれらの環のCohen-Macaulay 性の特徴付けを与え、その結果、この方向の研究が重要であることが認識されるようになる。続いてMinh-中村の共同研究で当該環のBuchsbaum性およびk-Buchsbaum性についての特徴付けが、単体的複体の次元が1の場合に与えられる。その後、一般次元の場合としてCohen-Macaulay性とBuchsbaum性についての特徴付けが寺井-Trungによって与えられる。今年度の活動と成果としては、上で述べた剰余環の環論的性質について、1次元ケースから一般次元へと、及び、Buchsbaum性からより一般な性質であるk-Buchsbaum性への場合へ拡張した特徴付けを与える。結果的にt乗のイデアルべきによる剰余環のk-Buchsbaum性についてはt とkの値の相互関係で決定されることがわかり、今まで判明していた個々の事例をすべて統一した記述で特徴付けることが可能となった、また、この特性を離散数学の言葉でいいかえると単体的複体のmatroid性で特徴づけられることが判明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の結果が出るまでにはもう少し時間がかかるものと思っていたが、この方向の研究に携わる研究者が急激に増えたことで、関連する研究の速度が加速したように思える。その結果新しい事実がいくつか判明することとなり今回の結果に至ったと考える
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Strategy for Future Research Activity |
Stanley-ReisnerイデアルやStanley-Reisner環の特性を単体的複体の性質で記述するという研究を継続していく。Cohen-Macaulay 性やBuchsbaum性以外の環論的性質、および、環の不変量に関する研究、たとえば、重複度やCohen-Macaulayタイプといった不変量を組み合わせ論的な言葉で記述することを目標とする。また、辺に重みを入れたグラフから定まる重み付きStanley-Reisner イデアルやStanley-Reisner環を考える。Stanley-Reisner イデアルについては、その通常べきと記号的べきの一致条件がネットワーク理論における最大フロー・最小カット問題に関連しており、離散数学的概念の代数的翻訳にも試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各種研究集会の参加に30万円、代数学関連書物の購入に30万円。研究者招聘に20万円、研究補助をしてくれるアルバイトに謝金10万円程度を計画している。
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Research Products
(1 results)