2012 Fiscal Year Research-status Report
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23540060
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
中村 幸男 明治大学, 理工学部, 教授 (00308066)
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Keywords | 単項式イデアル / Stanley-Reisner イデアル / 辺イデアル / グラフ / 2部グラフ / Cohen-Macaulay / sequentially C-M / shellable |
Research Abstract |
本研究の目的は多項式環上の単項式イデアルの特性を離散数学的見地から解析することである。可換環の理論は長い数学の歴史の中でひとつの完成された理論をなしてきており、多項式の研究においても可換環の理論を適用することで多くの性質が導き出されてきた。しかしながら代数学の枠の中での考察には限界がありそれを打ち破るひとつの方法として可換環の離散数学的な道具を用いた研究が近年重要性を帯びてきている。 本年度の研究では、グラフから定まる辺イデアル I のCohen-Macaulay性、sequentially Cohen-Macaulay性について考察を行った。グラフは2部グラフの場合に限定したのだが、この場合の I の Cohen-Macaulay 性については Herzog-Hibi によるグラフ理論的特徴付が完成している。その結果を用いて、イデアル I が極小重複度をもつ条件、および、IのCohen-Macaulay 型の決定についてグラフの言葉での特徴づけを与えた。また同じく2部グラフの場合での考察ではあるが、sequentially Cohen-Macaulay 性についてもグラフの言葉で必要十分条件を与えることに成功する。sequentially Cohen-Macaulay性の特徴付けについては離散数学的特徴付としてはグラフに付随する単体的複体がshellable であるという特徴付があるのだが、単体的複体を経由せずにグラフのみの言葉で記述したことに本研究の意義があると考える。残念ながらその結果をCohen-Macaulay性の特徴付にリンクできていないところが今後の課題となる。また、最近はグラフの高次元版としてハイパーグラフの研究も進んできており、その方面からの切り口も重要なテーマであると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Sequentially Cohen-Mcaulay性という概念はBuchsbaum性と同じようにCohen-Macaulayという環の性質を拡張したもののひとつである。本年度は、グラフの辺イデアルのsequentially Cohen-Macaulay性についてグラフ理論的な特徴付けを構築することに主眼を置いた。本年度達成した内容は2部グラフの辺イデアルに対し、そのsequentially Cohen-Macaulay性の特徴付として、単体的複体を経由しないグラフ理論的特徴付を与えたところにある。 交付申請時の計画としては、調査すべき環の性質をCohen-Macaulayの次のステップとしてBuchsbaum 性に拡張する予定であったのだが、実際のところはsequentially Cohen-Macaulay性を主に扱っていくこととなった。研究対象をCohen-Macaulay性から広げていくというところが大事なのであって当初の計画とはそれほど大きく外れたものでないと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の主たるテーマである多項式環における単項式イデアルに対し離散数学的観点からの解析を行うが、対象とするイデアルは単体的複体のStanley-Reisnerイデアル、及び、グラフの辺イデアル双方を扱っていき、さらに高次元化としてハイパーグラフも扱っていく。しかしながら、交付申請時の計画に述べてあるように、次年度にはHilbert係数に関する考察も進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各種研究集会への参加に30万円、代数学及び離散数学関連書物の購入に30万円、研究者招聘に20万円、研究補助員に10万円程度を計上する予定である。
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