2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540066
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩谷 隆 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90235507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 耕二 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60229078)
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Keywords | レビ族 / オブザーバブル距離 / オブザーバブル直径 / セパレーション距離 / 相転移性質 / 無限次元空間 / リーマン多様体 |
Research Abstract |
本研究では Gromov による測度距離空間の集中と収束に関する理論のほぼ完全な解明をして,さらにそれを展開・応用した.これは次元が無限大へ発散する空間を研究するのに役立つ理論である.Gromov は測度距離空間の間の自然な距離を,測度の集中現象のアイディアに基づいて導入し,この距離が付随した測度距離空間全体の空間の自然なコンパクト化を構成した.この理論は Gromov の有名な本:「Metric structures for Riemannian and non-Riemannian spaces」に書かれているが,その詳細は大幅に省かれており,その重要性は広く認められながらも,理解出来る専門家は皆無であった.本研究において,その詳細をほぼ完全に解明・改良し,本を執筆した.この本「Metric measure geometry」は現在 EMS において出版を審査中である.中間審査は既に通って,現在詳細が正しいかどうかを検証中である.また,この Gromov の距離で測度距離空間の列が測度距離空間に収束したとき,曲率次元条件(リッチ曲率の下限条件の一般化)が保たれることを証明し,それを用いて,非負曲率をもつ閉リーマン多様体の正の第k固有値と第1固有値の比がkのみによる定数で評価されることを証明した(船野氏と共同).今まで,次元による定数での評価は知られていたが,次元によらない定数での評価は従来の方法では証明不可能であった.さらに,次元でパラメーター付けされたユークリッド空間の球面(または複素射影空間)の列に対して,相転移現象の類似の現象が成り立つことを証明した.丁度,臨界の極限において,無限次元のガウス測度が得られることを証明した.
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