2012 Fiscal Year Research-status Report
リンクが有理ホモロジー球面であるような複素2次元特異点の研究
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23540068
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
奥間 智弘 山形大学, 理学部, 教授 (00300533)
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Keywords | 2次元特異点 / 幾何種数 / 擬斉次特異点 |
Research Abstract |
複素2次元特異点の近傍はリンクといわれる実3次元多様体上の錘と同相である.したがって,リンクが特異点の近傍の位相を決定する.また,リンクと特異点解消グラフは互いを決定することが知られている.すなわち,特異点の位相不変量は特異点解消グラフの不変量である.本研究では,リンクが有理ホモロジー球面になるような複素2次元特異点を対象とし,基本的な解析的不変量の公式を求め,特徴のある複素構造を見出して記述することを目的としている.W. Neumann と J. Wahl によって導入されたスプライス商特異点については幾何種数の加法公式や重複度を具体的に求める方法が得られている.それらが,どれくらいの範囲の特異点のどのような不変量に,どのような形で一般化できるのか,また擬斉次特異点の場合に以下に具体的に記述できるかを問題とした. 24年度は前年度の続きとして,スプライス商特異点を含むある特異点のクラスに対して前述の幾何種数の加法公式と同じものが成り立つことを確かめた.また,種数公式の基本となる公式の対象を直線束から局所自由層に広げた.次に擬斉次特異点を対象とした研究を行った.まず,今野・長島のブリスコーン超曲面に対する結果をブリスコーン完全交叉特異点に拡張した.すなわち,基本サイクルや極大イデアルサイクルを具体的に記述した.それは,定義式に現れる指数から初等的な計算で得られるものであり,小平特異点になるための条件も簡潔に表せる.次に,対象をリンクが有理ホモロジー球面になるような擬斉次特異点に広げ,特異点解消空間の接層のコホモロジーの次元を求める公式について研究した.それは一般には解析的不変量であるが,この場合には少なくとも特異点解消グラフで計算できることを確かめた.グラフのザイフェルト不変量から直接的に計算できるよう表現できるかどうかについては今後の課題としたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幾何種数の加法公式やその基本となる公式の対象を少し広げることができた. また,擬斉次特異点についてはブリスコーン超曲面の結果を一般化し,特異点解消空間の接層のコホモロジーの次元を求めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
複素解析幾何やトポロジー,代数幾何に関する研究集会等に参加し,研究交流を積極的に行い,成果発表を行いつつ,必要な知見を補いながら研究を進めていきたい.また,連携研究者,研究協力者との議論も継続し,最終年度の結果をまとめたい.さらに,関係する文献を入手したい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研究方策を実行するため,主に出張旅費と文献入手のために研究費を使用したい.
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