2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540071
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
稲葉 尚志 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40125901)
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Keywords | 積分不可能平面場 / エントロピー / Reeb流 / 初期条件に関する鋭敏依存性 |
Research Abstract |
本研究では積分不可能平面場を従来の観点とは異なる微分位相力学系理論的観点から考察し,大域的な現象に関する新知見を得ることを目標とした.3年の研究期間中に幾つかの新定義と新結果を得たが,未だ発展の余地を残したところで期間満了となったため,成果のうちの大部分を論文出版の形で完結させることができなかったのは残念である.以下に実績を列挙する. 1.Bis(2005)やZung(2011)が積分不可能平面場に対して行なったエントロピー定義の試みはすべてが自明という結論に終わった.本研究では微分可能性を定義中に組み込んだ新定義を提案した(23, 24年度).この新定義の非自明性は未解決である.或る条件下での自明性は証明した. 2.与えられた2点を水平曲線に沿って動かすときの挙動を見ることで力学系理論における初期条件に関する鋭敏依存性(SDIC)の概念を積分不可能平面場に対して導入した(24, 25年度).どんな接触構造のどんな点もSDICを持たないことはわかる,一方,bracket生成的な平面場でSDICを持つ点を許容するものが存在するとの強い感触を得ている. 3.5次元以上の接触多様体において,接触構造を変えず局所的に接触形式のみを変えることにより,そのReeb流が不変トーラスを持つようにできること,しかもそのトーラス上の流れの様子をある程度自由に変化させることができることを示した(25年度).これはRottgen(2014)等の構成の一般化である. 4.法方向に縮小するリー群作用の非存在についての結果を得た(23年度).
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