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2012 Fiscal Year Research-status Report

シンプレクティック多様体への群作用と量子化

Research Project

Project/Area Number 23540072
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

今野 宏  東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (20254138)

Keywordsシンプレクティック幾何学
Research Abstract

ハイパーケーラー商のトポロジーを調べるために,ハイパーケーラーモーメント写像のノルムの2乗をモース関数として,モース理論を適用したい.この関数はプロパーではないので,ただちにモース理論を適用することはできない.ハイパーケーラーモーメント写像のノルムの2乗にモース理論を適用するためには,この関数のすべての勾配流が収束することを示すことが必要になる.この事実をトーリックハイパーケーラー多様体に対しては証明できたが,これを一般のトーラスによるハイパーケーラー商に拡張することが当面の目標である.当該年度に Fisher により,トーリックハイパーケーラー多様体に対して勾配流の収束性の証明が発表された.この証明は筆者の方法とはかなり異なるが、すぐれた点がいくつかある.Fisher の方法を一般のトーラスによるハイパーケーラー商に拡張する可能性について考えたが,いくつかの障害が存在しており,ただちには拡張できないことがわかった.
モーメント写像の幾何を応用して,複素ベクトル空間あるいはもっと一般のシンプレクティック多様体のコンパクトなラグランジュ部分多様体を組織的に構成する方法を見つけた.いくつかの実例と理由から,このラグランジュ部分多様体はハミルトン変形による体積の微分が0になる,という性質を持つことを予想した.
特異点をもつ Calabi-Yau 多様体について crepant 解消予想が多くの場合に証明されている.例外ホロノミーをもつ多様体の場合にも crepant 解消予想のような事実が成立するのではないかと考え,その実例の計算を開始した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

微分幾何学に関する学術書を執筆中で,現在,2013年秋に出版を目指して,最終段階の執筆および見直しを行っている最中である.この本の執筆に労力がかかったために,研究する時間が減少したということは否定できない.けれども,この本には今までの研究生活において得られた知見が随所に書かれており,研究において得られた知見の社会への発信,還元という目的を果たしていると考える.このような学術書の執筆は,研究と並行して行ってこそ,生きた学術書としての価値が生じると考える.そのために,研究という点では多少遠回りであるが,今までに研究において得られた知見の社会への発信,還元も重要な点と考え,研究と並行して本の執筆に時間を割いた.

Strategy for Future Research Activity

当該年度に Fisher により,トーリックハイパーケーラー多様体に対してハイパーケーラーモーメント写像のノルムの2乗の勾配流の収束性の証明が発表された.この証明は筆者の方法とはかなり異なるが,すぐれた点がいくつかある.Fisher の方法もただちに一般のトーラスによるハイパーケーラー商に拡張することはできないが,研究方針を少し修正して、その拡張の可能性を検討することも重要になると考えられる.
非アーベル群によるハイパーケーラー商の場合,ハイパーケーラーモーメント写像のノルムの2乗をモース関数としてモース理論を適用すると,アーベル群の場合と違った性質を持つ臨界点集合が現れる.この臨界点集合の性質を多角形のモジュライ空間のハイパーケーラー幾何における類似物などの具体例について調べたい.
研究成果欄で言及したラグランジュ部分多様体がハミルトン体積極小であることの証明を完成させること,さらに,ハミルトン変形で体積が最小になるか,ということを調べることが目標である.また,このラグランジュ部分多様体は,Chekanov トーラスと呼ばれる複素ベクトル空間内の異種ラグランジュトーラスと類似の方法により構成されているとも解釈できそうなので,フレアーホモロジーなどのシンプレクティックトポロジー的な側面においても顕著な性質を持つことが期待される.
例外ホロノミーをもつ多様体の場合にも crepant 解消予想のような事実が成立するのではないかと考え,実例の計算を開始したが,これを続行して具体例において理解を深めたい.この予想の定式化には,例外ホロノミーをもつ多様体の場合に特異点解消,変形による平滑化に相当する概念の整備が課題となる.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

出張旅費が大半を占める.さまざまな分野の研究者と交流することにより,視野を広げ、当面の問題を解決する手段を探すとともに,新しい問題意識を得ることが目的になる.
B-Aの額が多少存在するが,これは,旅費,滞在費を先方から負担していただいたために生じたものであり、出張の計画はほぼ予定通りに行われている.

  • Research Products

    (3 results)

All Other

All Presentation (3 results) (of which Invited: 3 results)

  • [Presentation] 旗多様体のトーリック退化と幾何学的量子化

    • Author(s)
      今野宏
    • Organizer
      神楽坂幾何学セミナー
    • Place of Presentation
      東京理科大学神楽坂キャンパス
    • Invited
  • [Presentation] ユークリッド空間から解き放たれて

    • Author(s)
      今野宏
    • Organizer
      公開講座 「空間」へのアプローチ
    • Place of Presentation
      東京大学大学院数理科学研究科
    • Invited
  • [Presentation] 旗多様体のケーラー偏極の実偏極への収束

    • Author(s)
      今野宏
    • Organizer
      リー群論表現論セミナー
    • Place of Presentation
      東京大学大学院数理科学研究科
    • Invited

URL: 

Published: 2014-07-24  

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