2015 Fiscal Year Annual Research Report
不定値グラスマン多様体上のツイスター変換と無限次元表現論
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23540073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関口 英子 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (50281134)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | ペンローズ変換 / ユニタリ表現 / 有界対称領域 / エルミート対称空間 / 複素多様体 / リー群 / グラスマン多様体 / 積分幾何 |
Outline of Annual Research Achievements |
実半単純リー群 G をその複素化として得られる複素半単純リー群の旗多様体,あるいは一般化された旗多様体 X に作用させたとき有限個の軌道に分かれることが知られている.その中で開軌道 D には旗多様体から誘導される複素構造によって複素多様体の構造が入り,群 G は双正則に作用する.従って,任意の G 同変な正則直線束 L のコホモロジーのなすフレッシェ空間には群 G の連続な表現πが定義される. この表現は零でなければ,ジョルダン=ヘルダー列の長さが高々有限となる.さらに,直線束 L のパラメータが十分良い場合には, 代数的な手法による表現の一般理論から,πは既約である.そして,幾何的データである,一般化された旗多様体 X とその開軌道 D と正則直線束 L のパラメータという3つのデータが本質的にはπから一意的に復元されることを証明することができる. ところが,正則直線束のパラメータが特異な場合には,この一般理論が成り立たない.すなわち,同じ半単純リー群に対して,この3つのデータがすべて異なるにもかかわらず,得られた表現が同型になる例が存在するということを,ペンローズ変換およびツイスターの手法とアイディアを用いて解析的な方法で見つけることができた. このような例は,非常に特別な幾何的な設定でしか起こらないが,底空間となる複素多様体 D の次元さえ異なる例も存在し,この非自明な同型の構成は,次の研究課題として,さらに掘り下げるべきテーマと考えている.
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