2013 Fiscal Year Research-status Report
結び目群の指標代数多様体を用いたファイバー性と種数の研究
Project/Area Number |
23540076
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森藤 孝之 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (90334466)
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Keywords | 結び目群 / 指標代数多様体 / ねじれアレキサンダー不変量 |
Research Abstract |
本研究の目的は,結び目群の指標代数多様体とその上の関数であるねじれアレキサンダー不変量の情報を用いて,結び目およびその外部空間の幾何学的情報を,ある種の「有限性」で捉える枠組みを与えることである.より具体的には,結び目群のSL(2,C)-指標代数多様体の適当な複素1次元既約成分(代数曲線)と,結び目のファイバー性(あるいは種数)を特徴づける代数曲線との交差を考察し,それら交差数の有限性によって,結び目のファイバー性(あるいは種数)を決定する手法を開発することを目標とする.大別すると次の2点を明らかにすることが目標となる. 1.SL(2,C)-指標代数多様体上の関数としてのねじれアレキサンダー不変量の明示公式を与える. 2.得られた関数の性質と結び目のファイバー性および種数との関係を明らかにする. 上述の研究目的に対して,前年度までに得られた結果をもとにして,本年度は2.に焦点を絞って研究を行った.特に,平成23年度中に得られていた2橋結び目に関する研究成果を,2橋結び目よりも真に広い結び目のクラスに拡張することに成功した.具体的には,3次元球面内の「小さい結び目」であって,その結び目群から以下の結び目の群に全射が存在するときに,指標代数多様体の1次元既約成分の情報から,結び目のファイバー性と種数を決定できることがわかった:(1)非ファイバー2橋結び目,(2)単根をもち,かつ,非モニックであるアレキサンダー多項式をもつ結び目,(3)非モニックアレキサンダー多項式をもち,かつ,同変結び目符号数が恒等的に零でない結び目.また,関連する成果として,Friedl-Kim-Kitayamaによるねじれアレキサンダー不変量の次数のパリティに関する結果の最善性を,閉3次元多様体に対して証明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結び目理論の代数的研究における「2橋結び目」や「小さい結び目」の位置づけは極めて重要で,これらの結び目に対して研究目的がおおむね達成できたことは,さらなる一般化に向けて,よい指針を与えると考えられるため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は事業期間延長による本研究課題の最終年度となるため,これまでの3年間に得られた研究成果をもとにして,より広い結び目のクラスに対して研究目標の達成を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に双曲結び目群の指標代数多様体に関する研究を行い,その成果を国際会議で報告し,レビューを受ける予定であったが,関東地方での大雪の影響で予約していたフライトがキャンセルとなり,会議に出席できなくなったため. これまでに得られている双曲結び目群の指標代数多様体に関する研究成果発表を次年度に行うこととし,未使用額はその経費に充てることにしたい.
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Research Products
(4 results)