2012 Fiscal Year Research-status Report
シェイプ理論によるフラクタル幾何学へのカテゴリ的アプローチに関する研究
Project/Area Number |
23540086
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮田 任寿 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (30280390)
|
Keywords | シェイプ理論 / 近似的逆システム / フラクタル / 距離空間 |
Research Abstract |
シェイプ理論 (近似的逆システム (approximate inverse system) の理論など) を用いて,フラクタル幾何学へのカテゴリ的アプローチの方法と公理的アプローチの方法を解明することを目的とし,当該年度は,シェイプ理論の基礎的・応用的研究として,前年度の実績をもとに,シェイプ理論および距離空間に関する最近の技術について調査し,有用性を明らかにした.具体的には,下の2つのことについて取り組んだ. 1. 一般コホモロジー次元論はA. Dranishnikovによって提唱された次元論の1つである.これはCW-spectraを系とするコホモロジー群を用いて表現され,CW-spectraへの写像の拡張性と密接な関わりをもつ.この点に着目し,シェイプ理論の逆システムを応用して,一般位相空間を系とする一般コホモロジー次元論を導入し,基礎的な性質について明らかにした.Kahn連続体やHawaiian earingと呼ばれる連続体を系とする一般コホモロジー次元論について明らかにした. 2. フラクタルを表現するための基礎となる距離空間に対して,位相空間の技術の有用性を調べるため,位相空間上の次元論に対するHurewiczの定理(有限対1写像の定理)を距離空間上のAssouad-Nagata次元について証明した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年度は,シェイプ理論の基礎的・応用的研究として,近似的逆システムなどの既存の技術や距離空間に関する最近の技術について調査し,有用性を明らかにすることを目標としてきた.これに対して,2つの大きな結果を得ることができた. 1. シェイプ理論の逆システムの概念を応用したシェイプ理論的一般コホモロジー次元論の基礎の構築 2. Assouad-Nagata次元に対するHurewicz定理の形成 一方で,距離空間に関する最近の問題はこの数年で急速に発展し,非常に多数の方向に拡散してきていおり,この点においてはさらなる調査と検討を必要とする.
|
Strategy for Future Research Activity |
フラクタル幾何学へのカテゴリ的・公理的アプローチの方法に関する研究を行う.シェイプ理論の基礎的・応用的研究をもとに,さらに距離空間に関する基礎研究を重ね,フラクタル幾何学における既存の概念やフラクタルの幾何学的性質との関連について調べ,さらには他分野への応用の可能性についても検討する.また,カテゴリ的手法によるフラクタルの表現方法に基づいてアルゴリズムについて検討を行う.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度以降の計画は次のとおりである.シェイプ理論,フラクタル幾何学,カテゴリ論をはじめ,位相幾何学,距離空間を中心とした関連する文献を調べるため,Math Review,Zentralblatt Mathなどのデータベースを調べながら,神戸大学附属図書館で入手可能な学術雑誌については印刷をし,それ以外は文献複写により入手する.神戸大学附属図書館にない図書については購入する.神戸大学にてセミナーを開催し,それぞれの分野の専門家から専門知識の提供を受け,方針について検討した上で,問題について検討していく予定である.得られた結果は,プレプリントサーバ及び国際的な学術雑誌に投稿する.
|