2012 Fiscal Year Research-status Report
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23540088
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| Research Institution | Nara Women's University |
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Principal Investigator |
山下 靖 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (70239987)
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| Keywords | 双曲幾何学 / 指標多様体 |
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| Research Abstract |
階数nの自由群FnからSL(2,C)への表現全体の空間には、SL(2,C)の元が共役により作用する。表現空間をこの共役作用に関する幾何学的不変式論の意味での商は指標多様体と呼ばれ、現在活発に研究が行われている。特にこの空間には自由群Fnの外部自己同型群が自然に作用する。この作用について、幾何及び力学系の観点から理解を深めるのが、当初の目的である。特に階数nが2のとき、Bowditchにより与えられた指標多様体の元に関する条件には、対応する表現の像から得られるメビウス変換群の離散性との関連が予想されるが、
現時点では不明な点が多い。
本研究代表者は、この(1)Bowditchによる条件、(2)像の離散性、(3)対応する力学系の複雑さ、の３者の関連について、研究を行った。
(1)と(3)について、両者を比較するための計算機実験を行った。ただし(1)や(3)の数学的な定義は無限個の不等式を経由するもので、そのままで計算機実験をすることは難しく、それを有限の計算により部分的な十分条件を導出することにより、計算機アルゴリズムの開発を行った。それに加えてアルゴリズムの実装も行い、計算機実験による結果の考察も行った。これらの結果はいくつかの研究集会などで発表を行った。
(2)に関して、離散性領域の大域的な形状を中心に共同研究を行った。また、特別なスライス（部分集合）に対して、上記(1)と(2)の対応が一致しない例があることを見出し、これについて考察を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では本年度は計算機実験の結果をもとに考察を進めることを中心に行う予定であった。これについては、研究実績の概要欄でも述べたように、開発したアルゴリズムの改良、計算機上での改良アルゴリズムの実装、計算機による計算およびその結果の可視化などを通して、おおむね目標を達成することができた。
また、この結果をいくつかの研究集会で発表することができ、関連分野の研究者と今後の方向について討論することができたのも、大きな収穫であった。これらは、これからの研究に格段の進展をもたらす上で、非常に有益であると考えることができる。特に海外の関連分野の研究者との意見交換では、いくつかの新しアイディアを得ることができた。
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| Strategy for Future Research Activity |
これまでにおいて行った計算機実験は階数nが２および３の場合のみである。これを階数がより大きい場合についても拡張するのが今後の研究の方向である。階数が３の場合でも計算を行うためには、いくつかの超えなければならないハードルがあり、当初は不明な点がかなりあった。
しかし現時点ではどれも原理的に挑戦可能な問題であることが徐々に分かりつつあり、これまでの方向で研究を続行する見通しが、これまでよりはっきりしてきている。
計算機実験が１段落した後は、より理論的な研究に軸足を移すことが必要になってくるが、これに関しても現在準備を進めており、成果を期待することができる。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は海外の研究者との交流が非常に研究を発展させる上で有効であった。次年度もこれらの交流を継続発展させるために、当初計画の方向通り、旅費などの費用を中心に使用していくことを計画している。さらに、本研究分野において昨年から今年にかけて非常に興味深い書籍などが相次いで出版されている状況もあり、図書の購入に関しても、当初計画通り進めていくことを計画している。本研究課題は（計算機実験は行うものの）いわゆる実験系のものとは違い理論が中心になるため、研究費の使用においては、上記旅費及び図書が中心になっていく計画である。
本年度は未使用額が生じている理由は、当初行う予定であった海外の研究者訪問が延期になったためで、これは次年度行う予定である。
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Research Products
(4 results)
