2011 Fiscal Year Research-status Report
シンプレクティックトポロジー的手法と代数幾何的手法による4次元多様体の研究
Project/Area Number |
23540096
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 好久 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (90231349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足利 正 東北学院大学, 工学部, 教授 (90125203)
廣瀬 進 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (10264144)
遠藤 久顕 大阪大学, 理学研究院, 准教授 (20323777)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | Lefschetz fibrations / Lefschetz pencils / geography / Kodaira dimension |
Research Abstract |
本研究の目的は、シンプレクティック構造(非退化な閉微分2‐形式)をもつ4次元閉多様体上に自然に入るファイブレーション構造(レフシェッツファイブレーションやレフシェッツペンシル)を、シンプレクティックトポロジー的手法と代数幾何的手法を用いて解明することである。ケーラー構造を持つものについては当然ではあるが、シンプレクティック構造をもつものは複素曲面と似た性質を持ち、そのような対象を代数幾何的に研究することが必然的に考察される。複素曲面の代数幾何的研究と照らし合わせて、非極小レフシェッツ束空間の「地誌学」を調べること、および、レフシェッツ束空間に「小平次元」の概念を導入し小平次元を軸とする分類を考察することを具体的な研究目的とした。複素曲面の研究では「極小」(自己交差数が-1の有理曲線、位相幾何的には自己交差数が-1の球面を含まないこと)であるものを調査対象とするが、本研究では「非極小」なものを対象とするところにその研究の特徴がある。その理由は、非極小性により、ファイブレーション構造の4次元を2次元+2次元と見ることで、自己交差数が‐1の球面を「水平方向」の軸として考察することができること、および、非極小なものは連結和分解に関して既約な因子となることである。このような研究目的にそって、平成23年度の研究計画は、シンプレクティックトポロジー的手法により擬正則曲線を解析しながらレフシェッツ束空間の標準類を決定すること、および、2重分岐被覆や写像類群によりレフシェッツ束空間を構成することである。標準類の決定は地誌学や小平次元の研究のための準備であり、レフシェッツ束空間の構成は地誌学研究の準備である。平成23年度の研究成果としては、ある条件(例えば、十分に多くの自己交差数が-1の球面を含む)のもとでレフシェッツ束空間の標準類を決定し、地誌学や小平次元による分類をすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レフシェッツ束空間の標準類の決定に関しては、ある条件のもとではあるが、その研究目的を達成することができている。それにより、その条件下での地誌学や小平次元の研究に応用することができている。これらの研究内容をまとめた論文を学術雑誌に投稿し、現在審査中である。また、研究分担者の写像類群における関係式の研究により、これら関係式をモノドロミーとするレフシェッツ束空間を構成することができている。しかしながら、小平次元の研究に関しては、既存の小平次元の枠組みから抜け出るような研究ができず、本来の研究目的である小平次元の本質的な研究まで及んでいない。より大胆な研究をする必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究を継続しながら、当初の計画通りに進める。平成23年度の研究で得られた成果であるレフシェッツ束空間の標準類の決定は、ある条件下での決定である。したがって、残された課題として、この条件を「外す」ことを継続課題として考察しなければならない。そのために、標準類の(特異)擬正則曲線表現、特に、その特異点のまわりでの状況をシンプレクティックトポロジー的に精密に解析する必要がある。小平次元に関する研究では、正則レフシェッツ束空間の因子次元を計算しながら飯高‐小平次元として最良の因子を探す研究を行う。次年度使用額(66,842円)が生じた理由は、当初予定していた研究打ち合わせが、大学の業務のために延期しなければならなかったことと先方との日程調整がうまくいかなかったことである。これは、次年度(平成24年度)において研究打ち合わせのために使用する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の領域は、微分位相幾何学・代数幾何学(複素曲面)・リーマン面の研究など広範囲におよぶ。そのための情報収集や研究交流は必要であり、研究集会や研究交流のための旅費として使用する。また、研究資料としての図書を購入する。
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Research Products
(17 results)