2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540105
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
小沢 誠 駒澤大学, 総合教育研究部, 准教授 (50308160)
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Keywords | 結び目 / ハンドル体 / 曲面 / 橋分解 / Neuwirth予想 |
Research Abstract |
1. 論文「A locally minimal, but not globally minimal bridge position of a knot」において、極小だが最小ではない橋位置を持つ結び目を構成した。この研究は高尾和人氏との共同研究であり、2013年2月にMath. Proc. Cambridge Philos. Soc.から受領された。 2. 論文「Coexistence of coiled surfaces and spanning surfaces for knots and links」において、閉偽曲面を一様に平滑化することで二つの本質的曲面が共存する結び目または絡み目を構成できることを示した。系として、この構成で得られる結び目はNeuwirth予想を満たすことが分かった。2012年12月にarXivに投稿した。 3. 論文「Essential surfaces of non-negative Euler characteristic in genus two handlebody exteriors」において、種数2のハンドル体外部における非負オイラー標数を持つ本質的曲面の分類をした。この研究は、古宇田悠哉氏との共同研究であり、2013年2月にTrans. Amer. Math. Soc.に投稿した。 4. 論文「Knotted handle decomposing spheres for handlebody-knots」(石井敦氏、岸本健吾氏との共同研究)は、2013年4月にJ. Math. Soc. Japanに投稿した。 5. 論文「Composite tunnel number one genus two handlebody-knots」(Mario Eudave-Munoz氏との共同研究)については、現在ジャーナルへの投稿へ向けて準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の1に関して、高尾和人氏との共同研究を継続しており、前回の結果を拡張した結果を得ている。前回の結果は、極小な4橋分解と最小3橋分解を持つ結び目の構成であったが、今回得られた結果は、3より大きい任意の自然数nに対して、極小なn橋分解と最小3橋分解を持つ結び目を構成したことである。これにより、前回の論文で提起した二つの問題についての解答を与えた。更に、今回の論文で提起した問題について、小林毅氏と張娟姫氏により、Casson--Gordonの構成方法を利用すると、解決できることを示唆頂いた。これを切欠として、今回の共同研究は、この4人で進めることとなった。 研究実績の概要の2に関して、ほぼ満足できる結果を得ている。ただ、論文の微修正が遅れており、その為、ジャーナルにまだ投稿できていない。 研究実績の概要の3に関して、予想外の研究の進展があった。ケーブリング予想に関連して、「結び目外部が本質的4つ穴開き球面で、境界スロープが整数であるようなものを含むか?」という問題が残り、種数2のハンドル体外部の本質的アニュラスの分類が最後までできていなかった。この問題は、Cameron Gordon氏により解決され、appendixとして、共著論文に載せることが許可され、種数2のハンドル体外部の本質的アニュラスの分類を完成させることができた。 研究実績の概要の4に関して、論文の完成が遅れた為、投稿が遅くなってしまった。一度、Osaka J. Mathに投稿したがリジェクトとなってしまった(レフリーの誤読と思われる)。その後、J. Math. Soc. Japanに投稿した。 研究実績の概要の5に関して、論文はほぼ完成しており、現在最終確認段階である。6月末までには、Boletin de la Sociedad Matematica Mexicanaに投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 結び目の極小橋分解にについて、高尾和人氏、小林毅氏、張娟姫氏との共同研究を続けていきたい。この共同研究は、Casson--Gordonによる無限個の強既約なヒーガード分解の構成に基づき、無限個の極小橋分解を構成する方針で進められている。 2. Neuwirth予想について、論文「Coexistence of coiled surfaces and spanning surfaces for knots and links」の細部を見直し、投稿したい。また、この論文で提起した問題や予想について、引き続き研究を進めていきたい。 3. ハンドル体のn-分解について、現在のところ、1-分解や2-分解ですら一意的であるかどうか一般的には分かっていない。これを大きな目標としたい。この目標の第一ステップとして、石井氏、岸本氏との共同研究、および、古宇田氏との共同研究において、knotted handle 2-分解は一意的であることを示した。先ずは、この延長線上にある問題、knotted star n-分解に取り組みたい。空間グラフにおいて、イソトピーで移り合う為の必要十分条件が、blowing-up/downであることが知られており、これは、knotted star n-分解に対応する。期待できる予想としては、knotted star n-分解の一意性である。 4. knotted handle 2-分解については、分解は一意的であり、更に、階層を持つことを論文「Knotted handle decomposing spheres for handlebody-knots」で示している。これが、knotted star n-分解へ拡張できるか考えたい。 5. 今年度前期は埼玉大学の非常勤があるので、毎週下川航也氏と議論を交わす予定である。そこで、特に結び目のABC予想について考えたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年6月6日から9日にかけて、ロサンゼルスのLoyola Marymount Universityにおいて「Spatial Graphs Conference」が開催される。ここでは、「Essential surfaces of non-negative Euler characteristic in genus two handlebody exteriors」について講演予定である。この為の旅費・宿泊費として、20万円程使用する。 2013年6月24日から28日にかけて、トゥールーズのToulouse Mathematics Instituteにおいて「Low-dimensional Topology and Geometry in Toulouse」が開催される。ここでは、「Essential surfaces of non-negative Euler characteristic in genus two handlebody exteriors」について講演予定である。この為の旅費・宿泊費として、30万円程使用する。 2013年8月12日から16日にかけて、東京女子大学において国際研究集会「International Workshop on Spatial Graphs 2013」を開催予定である。外国人招聘の為、旅費・滞在費として30万円程使用する。 その他の残額は、研究打ち合わせの為の費用やパソコンソフト・周辺機器などに使用する。
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Research Products
(9 results)