2011 Fiscal Year Research-status Report
空間形内のキルヒホッフ弾性棒を中心とした1次元弾性体の研究
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23540116
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
川久保 哲 福岡大学, 理学部, 助教 (80360303)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | キルヒホッフ弾性棒 / 弾性曲線 / 変分問題 / 渦糸 / 局所誘導階層 |
Research Abstract |
平成23年度は,一般次元の空間形内のKirchhoff弾性棒の幾何学的な性質について研究した.特に,Kirchhoff弾性棒の方程式の初期値問題について考察した.そして,任意の初期値に対して,大域解(実数全体で定義された解)が一意的に存在することを証明し,論文「Kirchhoff弾性棒の方程式の第一積分と大域解」(福岡大学理学集報 41(2011),147-153)において結果を報告した.特にこの結果から,任意の長さのKirchhoff弾性棒は,Kirchhoff弾性棒であることを保ったまま,両側に,長さ無限大に一意的延長ができるということなどが分かる.証明は,良く知られているFrenet曲率とは異なる,自然曲率というものを用いて行う.即ち,Kirchhoff弾性棒の方程式を,その自然曲率の方程式に帰着させる.そして,自然曲率の方程式が,ある第一積分をもつことを利用して,解の先験的評価を行い,大域解の存在を証明した.なお,Kirchhoff弾性棒の方程式は,曲げと捩れの効果を考慮したエネルギーのEuler-Lagrange方程式であり,非線形4階常微分方程式である.従って,初期値問題の局所解の存在は自明であると言って良いが,大域解の存在は決して自明なことではないことを注意しておく.実際,曲線の変分問題のEuler-Lagrange方程式の解であっても,一般に,大域解に延長できるとは限らない.(例えば,平面内のbiminimal curve(bienergyの制限付き変分問題の解)で,大域解に延長できないものが存在する,という事などが知られている.)上で述べた,Kirchhoff弾性棒の大域解の一意存在定理は,空間形内での結果であったが,これは一般の完備Riemann多様体内で成り立つと予想している.この予想が正しいことを示すことが,今後の課題の一つである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,Riemann多様体内において,測地線よりも豊かな構造をもつ曲線(特にKirchhoff弾性棒やソリトン曲線)の幾何学を展開することである.これらの曲線は,これまでにも様々な研究が行われてきたが,3次元空間形内での研究がほとんどであった.平成23年度は,当初,高次元空間形内において,できるだけ広いクラスのKirchhoff弾性棒の具体的な表示式を求め,その幾何学的性質を解明することを第一の目標としていた.しかし,初期値問題の大域解の一意存在という,より根源的な問題が未解決であったため,こちらの問題を先に研究することにした.その結果,研究実績の概要の欄にも述べたように,一般次元の空間形内において,初期値問題の大域解の一意存在定理を得ることができた.やや方針を変更したため,当初の計画通りの進捗は得られていないが,より根源的な問題に対して,重要な進展が得られたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は,空間形内において,Kirchhoff弾性棒の方程式の初期値問題を考察し,大域解の一意存在定理を得た.平成24年度は,この結果を一般の完備Riemann多様体内に拡張することを第一の目標とする.また,その他には,主に次の2つの研究を行う予定である.まず,高次元空間形内のKirchhoff弾性棒の具体例の構成について研究を行う.これまでの研究で,5次元空間形内の螺旋でない充満Kirchhoff弾性棒の例が構成できている.これを一般の奇数次元の空間形,及び4次元空間形内に,何らかの形で拡張することを目標とする.次に,3次元空間形内のKirchhoff弾性棒を,可積分系(局所誘導階層)の理論によって拡張した曲線である,ソリトン曲線について研究を行う.これまでの研究で,3次元空間形内の全ての第nソリトン曲線の座標表示を,その曲率と捩率によって表すことができている.従って,もし曲率と捩率を具体的に表すことができれば,ソリトン曲線自体を完全に具体的に記述できたことになる.nが3以下ならば,それができることが分かっているが,一般の場合はまだ示されていない.一般の場合,微分方程式の階数が高くなるため,曲率と捩率を求めることは非常に困難になると思われるが,何らかの条件の下で具体的な表示式を求めることを目標とする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費の使用計画を述べる.まず,平成23年度からの繰越金額は0円であり,平成24年度の直接経費の予定額は 800,000円である.この内,物品費を300,000円程度,旅費を500,000円程度使用する予定である.
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Research Products
(2 results)