2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540123
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 仁之 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (10175953)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | フレームレット / ウェーブレット / かざぐるまフレームレット / 画像処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
人がものを見るメカニズムがどのようなものであるかという問題は,古代ギリシャのころより現在まで,哲学,心理学,脳科学,神経科学,工学などの分野から,さまざまなアプローチで研究がされてきた。本研究は,先端的数学を用いたり,あるいは必要に応じて新しい数学を創り、それらを駆使して脳内の視覚情報処理の新しい数理モデルを作るという筆者によるこれまでの研究成果を踏まえたものである。本研究では,新井仁之(筆者)・新井しのぶが考案したかざぐるまフレームレット(2009)などを用いた画像処理の実例的研究を主に行った。かざぐるまフレームレットは完全再構成性をもつマルチチャネル・フィルタバンクであり,これに大域的な非線形処理などを加えて人の視覚と同様の不完全再構成性を備えた脳内の視覚情報処理の数理モデルを作ることを筆者は研究してきた。しかしその処理は必ずしも人の視覚を再現するものでなくともよく,本研究ではむしろ人の視覚機能の一部を特化させ,人の視覚機能を部分的に超えるような画像処理の研究を行った。たとえば画像処理に関する特許技術(発明者:新井仁之,新井しのぶ,特許権者:JST)なども使って,画像処理の事例研究を行った。本研究では,エッジ検出を立体感をもつように行う立体エッジ検出という画像処理方法を考案した。またその立体エッジ検出などについて,いくつかのタイプの画像に対してケーススタディとして計算機実験を行い,その特性を調べる研究を行い,性能を良くした。以上に関する研究の成果発表を行った。また,かざぐるまフレームレットのある変形を見い出した。別の変形方法の方向性も得られた。本研究は今後の数学によるイノベーションを目指すための基礎研究の一つとなり得ることが期待できるものと考えている。
|