2014 Fiscal Year Annual Research Report
キンギョのウロコ再生における線維層形成過程に対する数理モデルの構築と数理解析
Project/Area Number |
23540125
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中口 悦史 東京医科歯科大学, 教養部, 准教授 (70304011)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 数理モデル / 数理生物学 / 形態形成 / ウロコ再生 / コラーゲン線維 / 計算力学 / 反応拡散系 |
Outline of Annual Research Achievements |
キンギョなどの硬骨魚類におけるウロコ再生過程のうち,特に線維層形成の基盤となるコラーゲン線維の蓄積・整列過程のみに着目した動的システムモデルの構築を行った。コラーゲン線維は,極性のあるタンパク質であるコラーゲン線維素が重合し束ねられて構成され,全体として磁性体のような極性をもつ。本年度は,線維素を極性粒子(双極子)と見立て,その空間的分布を連続的に分布すると近似し,その分布が互いに誘引しあう引力場と向きを揃える回転場のポテンシャルを形成し,自律的に向きを揃えて集合するという仮説を立てて,先行研究課題(若手研究(B)課題番号20740058および17740058)で得られた知見も参考にしながら,反応拡散系によるモデル化を行い,計算機シミュレーションによって現象をおおよそ確認できた。この成果の一部をスペイン・マドリード開催された国際会議と国内学会年会,国内の研究集会において発表し,また紀要雑誌へ寄稿している。 並行して,関西学院大学・大崎浩一教授らとの打ち合わせを継続しながら,反応拡散系の力学系に関する研究も進めた。4次元以上を含む高次元の領域における弱減衰項を持つ走化性方程式の大域解の構成について,その一部をまとめて投稿した論文は掲載決定した。これに指数アトラクタに関する知見を盛り込んだ内容で大崎教授が行った講演を元に,紀要雑誌へ寄稿している。本年度はこれらの結果を一部条件付きで改良することにも成功し,その成果の一部を国内学会年会において発表,さらに投稿論文を目下準備中である。
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