2013 Fiscal Year Annual Research Report
量子確率論的手法によるシーガル・バーグマン変換と無限分解可能分布の研究
Project/Area Number |
23540131
|
Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
浅井 暢宏 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (60399029)
|
Keywords | 直交多項式 / ブレンケ型母関数 / シーガル・バーグマン変換 / 量子確率論 |
Research Abstract |
乗法的繰り込み法の視点から,ブレンケ型母関数に付随する直交多項式の構成および分類問題に取組んだ.これは,量子確率論の立場から直交多項式とその母関数論を見直し,それらとシーガル・バーグマン解析との融合を目指すための一環と位置づけている.ブレンケ型母関数についての先行研究としては,チハラによる68年の論文があったが,彼の連鎖数列法による直交多項式の分類に至る議論は概略のみで,証明にも不備が有った.我々は,これらのギャップを乗法的繰り込み法の視点から再検討することによりチハラの分類を完全なものにすることを目指した.構成と分類自体はファヴァードの定理を出発点とした.その結果,完全な証明と詳細な計算過程を示した形で,qパラメータを含むヤコビ・セゲのパラメータ,および付随する乗法的繰込み因子などのq超幾何級数表示をもれなく得ることが出来た.これらの結果は論文としてまとめ上げ,2013年に国際的数学専門雑誌であるIDAQPに掲載された. また,本研究で得た成果は,国内外で開かれた国際会議や研究集会などに招待され講演発表することが出来た.その際,関連分野研究者との研究打合せも合わせて行った.特に,直交多項式論に関係する課題に取り組む量子確率論分野研究者らとの研究討論を積極的に行った.上記研究成果で現れる確率測度の多くはq数を重みに持つディラック測度の可算無限和で表現される.また,付随する相互作用フォック空間と量子空間,ある種のqフーリエ(ラプラス)変換又はqシーガル・バーグマン変換に付随する合成積構造との関係が姿を表している状況にある.これはq確率測度の何らかの意味での無限分解可能性やq中心極限定理,言い換えると,確率変数の何らかの意味での独立性が深く関連していると予想しているが全容解明には至っていない.これらは量子確率論とその周辺領域における今後の意義深い検討課題であると考えている.
|